子どもが元気になる世の中.生きる力を取り戻す 第 3,044 号

宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が
アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞
しました!
偉業達成を祝し、2001年に『致知』に
ご登場していただいた記事の一部を特別配信
いたします。

対談のお相手は、古くからの
宮崎アニメファンである養老孟司さんです。

─────────────────

〈宮崎〉
(平成13年)10月1日に
「三鷹の森ジブリ美術館」がオープンしました。
そこにアニメーションの絵を展示しているん
ですが、その前で突然映画のセリフを言いだす
子がいるんですよ。


〈養老〉
どんな絵が貼ってあるのですか。

〈宮崎〉
湯婆婆(ゆばーば)のでかい顔が
壁にどんと貼ってあるんだけど、
その湯婆婆のセリフをしゃべりだすんです。

その子どもが何回観に行ったかはわかりません
が、まだビデオ化はしていませんから、
1回か2回のうちに覚えているんですね。
それを見て、自分たちの映画はすごかったと
思っているスタッフがときどきいますが、
それはとんでもない錯覚なんですよ。

本来子どもというのは、
年長者の言っていることを
意味もわからずまねしたりして
言葉を覚えていったはずなんです。
その機会が減っているから、代わりに
アニメーションでやっているだけなんです。

あの映画には力があるからじゃないんです。
ぼくらの社会がますますやばくなっていると
証明しているだけなんです。
ぼくの作品をビデオで60回も
観たという子どもがいましたが、
そういうのを聞くと、
いまの子どもたちはかわいそうだなと思うんです。

〈養老〉
そういえば、そうですね。

〈宮崎〉
子どもが、元気になる世の中なんていうと、
ものすごく誤解を招くんですが、
なんとかしないと、この国の子どもたちは
これからの時代に世界で一番対応できない
無力な大人になっていくしかないんでしょうね。

〈養老〉
リアリズムという言葉は……

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      ありがとうございました。感謝!

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