忍者、忍術と聞けば、遠い昔話のような
イメージがありますが、現代にそれを
受け継いでいる人がいます。
甲賀伴党二十一代宗師家の
川上仁一さんです。
川上さんが語る忍者、忍術とは、
どのようなものなのでしょうか。
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川上 仁一(甲賀伴党二十一代宗師家)
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──川上さんは甲賀流忍術の伴党忍之伝
を継承する「現代に生きる忍者」と
して国内外でご活躍です。
忍者といっても、呪術、武術を駆使する
暗殺者とか、だいたいは誤解された
忍者、変容された忍者像が真実
のように思われています。
もう一方には、忍者は本当に存在した
のか?という懐疑的見方もあります
し、非常に広い幅で忍者は捉え
られてきたんです。
ですから、忍者の術技や歴史などを
含め、学術的な研究をしたいという
思いがずっとあったんですが、
2011年に三重大学が日本
で初めて忍者と忍術を
総合的に研究する
ことを決めたんですね。
それで、私も縁あって三重大学社会連携
センターの特任教授にしていただき、多
くの先生方とともに、研究はもちろん、
様々なイベントを含めて、忍者の
実体を伝える活動に取り組んできました。
──これまで忍者・忍術研究というのは
日本になかったのですか。
ほぼないです。
学問的な総合研究は全くといって
いいほどありませんでした。
あっても学術的じゃないんですよ。
フィクションが入ったり、事実に基づ
かない伝承が書いてあったり。
──一方の海外では、「NINJYA」として
関心が高いようですが。
そうですね。私も大学や行政の支援の
もと、国際交流や地域振興も兼ねて
毎年海外に行かせていただいて
いますが、モンゴル、フラ
ンス、イタリア、ブルガ
リア、アメリカ、
2017年はベトナムにも行きました。
もうすぐ20か国近くになるん
ではないかな。
──海外の人には、どのようなこと
を伝えているんですか。
海外での私の担当は、忍術の伝承や実技、
忍者の心構えといった精神的な部分の
講義に加え、「抜き足」「差し足」
などの歩き方、心身を統一する
呼吸法などを、実演を交えて
分かりやすく説明しています。
講義後には、質問コーナーを設けて
いるのですが、興味本位の質問
はまずありません。
関心がある方が聞きに来ているので当然
かもしれませんが、真面目に忍者につい
て知ろうとしていますし、すごく
マニアックな質問もあります。
後から詳しくお話ししますが、例え
ば、「忍耐が大事」「感情を表に
出さない」とか、忍者って
いかにも日本的なんですよ。
これからもそうした部分を海外の方に
理解してもらうことで、日本の素晴
らしさを知ってほしいですし、
海外の関心の高まりに
よって、逆に日本人
がもっと忍者や
忍術に目を
向けてくれればと願っていますね。
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『致知』2018年2月号
連載「活機応変」P56
2018年2月には、三重県伊賀市で「国際
忍者学会」が発足し設立大会も開催され
たようです。
これまで古文書の解析などを中心に研究
を進められ、世界中の研究者をつなぎ
研究の質を高めていかれるようです。
(2018年1月30日毎日新聞夕刊)
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝