最悪のシナリオは、北朝鮮を核保有国
として認め、金正恩がいつでも日本
と韓国を脅せるようになるのを
容認してしまうこと。
いま必要なのは「北朝鮮の脅威(核・
ミサイル施設)の除去」だ。
日本は、米国も中国も頼れない。
韓国もあまりに無責任。
ですから日本は自ら動くほかない。
北朝鮮の核・ミサイル施設を攻撃する
能力を日本が自ら備えるのだ。
「核ミサイルという北の脅威を除去する
先制攻撃」は「攻撃」ではなく「防衛」だ。
日本は「防衛として核・ミサイル施設
を先制攻撃するか、金正恩に服従して
生きるか」という岐路に立たさ
れている。
たとえば、「金正恩のヘアスタイルを
真似なければ、核爆弾を落とすぞ」と
脅されれば、日本は独立を失う。
1945年以降うまく機能してきた「戦後
システム」も北の核ミサイルという
脅威には有効ではない。
日本はいま、戦後最大のターニング
ポイントを迎えている。
北の核・ミサイル施設の破壊
に核兵器は必要ない。
戦闘機を「対地攻撃機」に変えて、「敵
地攻撃能力」を備えるだけでよい。
それを政府の手続きとして進めるのだ。
そういうシグナルを送るだけで、中国側
のリアクションが起こり、「日本には
やらせたくない」となる。
米国は「日本は本気だ。それなら同盟国
の俺たちがやるよ」と動くようになる。
北朝鮮の軍事力を侮ってはいけない。
彼らの軍事力は、他国の数倍効率がいい。
彼らが唯一持っていないのが、
最新型のレーダーだ。
対空ミサイルも、近代的な空軍もない。
防空システムは無きに等しい。
「対地攻撃能力」の準備の目的は、実際に
自衛隊が攻撃に行くというより、外交的
なものですから、政府の手続きと
して粛々と進めればよい。
「本気だ」というシグナル
を送ればよい。
日本政府にできるのは、行政的
な手続きを進めること。
部品の購入だけで、一つの
シグナルとなる。
国論を二分するのではなく、目立たない
ようにして、「本気だ」とワシントン
と北京の専門家だけが分かるよう
な形でメッセージを送るのだ。
日本の持っているF15にJDAM(通常
爆弾を精密誘導型に替えるキット)を
装着できるように改造すればいい。
改造が知られても、ボーイング社には、
「ただ実験しているだけです」
と言えばいい。
日本が対地攻撃用の部品を買い始めれば、
必ず米国と中国の知るところとなる。
北朝鮮がどうかはわかりませんが、
仮に北も知るとしましょう。
それで、スカッドミサイルを
日本に撃つとする。
それによって多少の被害が出たとしても、
翌日には米国の大反撃を喰らい、
北朝鮮は存続不可能となる。
つまり、ミサイルが日本に届いた時点で
「北朝鮮の負け、日本の勝ち」なのだ。
北の非核化が実現するから。
もっとも重要なのは、核ミサイルを
持った金正恩の言いなりになって
よいのかということ。
北の核ミサイルは、ロシアや中国の
それとは、全く意味が異なるのだ。
北朝鮮は、他国の海岸で人を
拉致する国だ。
こんな国は他にはない。
日本がいま、ターニングポイントに
立っていることを認識すべきだ。
ルトワック『米軍攻撃の鍵を握るのは日本だ』
の掲載雑誌「文藝春秋2017年12月号 」
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!