俳優で画家の片岡鶴太郎さんが
対談で登場されています。
お笑いから演劇、ボクシング、絵画、
ヨーガと活動の領域を次々と広げつ
つも、第一線で活躍し続ける片岡さん。
常に自分を勇気づけることで前進する
姿勢に、生き方のヒントを学びます。
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片岡 鶴太郎(俳優/画家)
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朝倉 千恵子(新規開拓社長)
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【朝倉】
片岡さんもこれまでいろんな試練に直面して
こられたと思うんですけど、どのように
して乗り越えてこられましたか。
【片岡】
最近は女性ばかりでなく、男性にも更年期障害
があるって話題になっていますけど、僕も
50歳になる手前には、心身ともに弱っ
てきて、鬱々とした気持ちが続い
ていた時期がありました。
とにかくすべてにおいて否定的、悲観的になって
しまって、何か虚しいんですよね。ジムに行っ
て無心に体を動しても、お風呂でひと息
ついていると「あとは帰って寝る
だけか……」と、また寂しさ
や虚しさがこみ上げてくる。
そんな時には、朝倉さんもおっしゃっていたけど、
自分で自分を励ますしかないんですね。「おま
え何やってんだ。そんな暗い顔をしてる場
合じゃないだろう。こんな気分の中に
も大事な気づきがあるんだから、
いまがチャンスだ。
恵まれてるんだ。絶対大丈夫、絶対大丈夫、絶対
大丈夫。笑え、笑え、笑え」って。そうやって
自分を勇気づけ続けていると、だんだん
そういう自分になっていくんですね。
【朝倉】
それはとても大事なことですよね。
【片岡】
それから、絵を描いていると、必ず1回か2回ドツボ
にはまる時があるんです。もう八方ふさがりで、ど
うしても筆が前に進まない。描きかけの絵を
破り捨てて新しい紙に向かっても、結局
同じところで躓くんです。
だから1回手をつけたら、どんなに無様で格好悪か
ろうと、せめて判定勝ちするくらいまではこの
紙から離れない。ボクサーが一度リングに
入ったら、どんなに倒されてもリング
から降りまいとするように、絵を
描く前はいつもそうやって覚悟するんです。
そしてドツボにはまりそうになったら、「あっ来た。
ここが正念場だ。絶対に、絶対に道は開ける」
って自分に言い聞かせるんです。
だって心の中のシードが僕に描けって言ってくれて
いるんだから。天が僕の絵が完成するのを願って
いるんだから、絶対どこかに灯りが見えてくる
はずだって。そうやって奮闘していると、
ここにちょっと色を差してみようと
ふと閃いて、そこからザザザッ
と道が開けたりするんです。
だからどんな困難に直面しても、絶対にここに宝物が
あるんだ、これはチャンスだと自分に言い聞かせて
逃げないことですよね。そこを回避して突破
経験を積まないと、また同じところで
躓いてグルグル回るばかりでね。
明治の文芸評論家・高山樗牛は「己れの立てるところ
を深く掘れ。そこには必ず泉あらん」って言っていま
すけど、常にもうここしかない、いましかないん
だと覚悟を決めて、 一つひとつやり切って
いくしかないんじゃないかと思いますね。
『致知』2019年2月号【最新号】
特集「気韻生動」P54
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!