2021/05/12 (水) 7:31
カトリックへの深い信仰、ダウン症をもって生
まれた息子・周君への愛に満ちた眼差しから、
人々の心に寄り添う珠玉の詩を綴り、いま写真
詩集『天の指揮者』で話題を集める詩人・
服部剛さん。
その服部さんによるWEBchichi限定連載
第4回「歪んだコップ」が公開されました。
心の琴線に響く連載の一部をご紹介します。
★仕事・人生のヒントが満載!
『致知』最新号の豪華ラインナップはこちら
───────────────────
〈服部〉
私には今年10才になるダウン症児の息子がいます。
幼少期、入退院を重ねていた彼も小学生になり、
元気に日常生活を過ごせています。
いまだ食事などの介助は必要で、言葉を
話すこともありません。
生後、ダウン症の告知を受けた時、
私と妻の目の前は真っ暗になりました。
特にママになったばかりの妻は深く絶望し、
危機感を覚えた新米パパの私は<妻の隣に
立ち、支えていこう>と決意しました。
何とか自分の心を整理しようと考えた私は沈思
黙考したのち、<ありのままの息子を、この
両手に確かに受けとりました>と、心の声で
天に向かって叫びました。
その瞬間、今までとは何かが違う希望が、
心の奥に芽生えたのです。
私を支えたのは作家・遠藤周作の言葉、
<マイナスのなかにはプラスがふくまれている>
(『心の夜想曲(ノクターン)』文春文庫)
でした。
山あり谷ありの年月を歩みながら、徐々に
その真意を実感しています。
たとえば、人間の幸せや悩み、人格や個性などは
数字で表すことができず、比較できないものです。
全介助の息子と共に歩む日々の課題は続きますが、
息子には人を癒すような無垢な笑顔があり、
<人並み以上に幸せを感じとる心がある>と
思う時があります。
致知出版社の人間力メルマガ
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!