97年間の生涯に創作した詩は
一万篇を超える、国民詩人・坂村真民。
共に若き頃から真民詩に魅せられてきた
坂村真民記念館館長の西澤孝一さんと、
弊誌連載でもお馴染みの臨済宗円覚寺派
管長の横田南嶺さんに、特に心に残る詩
を語り合っていただきました。
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(横田)
全部で1万篇を超える真民詩の中で、西澤館長
が特に好んでいる詩は何ですか。
(西澤)
これはなかなか選ぶのが難しいんですけれども、
強く影響を受けていると感じるのは、
真民が昭和26年に最初に自費出版で出した
詩集『六魚庵天国』の巻頭に載っている
「六魚庵箴言」です。
「狭くともいい/一すじであれ/どこまでも/
掘りさげてゆけ/いつも澄んで/
天の一角を/見つめろ」
「貧しくとも/心はつねに高貴であれ/
一輪の花にも/季節の心を知り/一片の雲にも/
無辺の詩を抱き/一碗の米にも/労苦の恩を感じよう」
「いじけるな/あるがままに/おのれの道を/
素直に/一途に/歩け」
(横田)
西澤館長はこの詩を
『かなしみを あたためあって あるいて
ゆこう』の最初に持ってきて、「詩人として
生きる決意と、自らの生き方を宣言した詩」
と説明されていますね。
(西澤)
この詩はおそらく40歳頃につくったものだと
思いますけど、真民はこの言葉を亡くなるまで
ずっと思い続け、そしてこの生き方を生涯
貫き通しました。そこが尊敬するところですし、
私も生き方の原点にしたいと思っています。
もう1つは、「しっかりしろしんみん」。
私自身、これから人生の晩年を歩んでいくに
あたって、いつも念頭に置いて生きて
いかなければと思っている詩です。
「しっかりしろ/しんみん/しっかりしろ/しんみん/
しっかりしろ/しんみん/しっかりしろ/しんみん/
しっかりしろ/しんみん/どこまで書いたら/気がすむか/
もう夜が明けるぞ/しっかりしろ/しんみん」
これは89歳の時に書いているんですけれども、
80代後半から特に90を過ぎて以降、
詩記の中に「しっかりしろしんみん」という
言葉が毎日のように出てくるんです。
詩記は96歳で終わっているんですが、最後の
最後まで「しっかりしろしんみん」と書かれています。
これはすごい。
(横田)
真民先生が最晩年、96歳の時に書かれた「断崖」
という詩の……
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★本記事は月刊『致知』2017年12月号「遊」
から抜粋・編集したものです。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!