100円ショップの草分けである大創産業
(100円SHOPダイソー)の創業者・
矢野博丈氏。
いまから18年前の『致知』にご登場いただ
いた際、イトーヨーカ堂の創業者である
伊藤雅俊氏と会われた際の忘れ得ぬ
エピソードをお話しくださいました。
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イトーヨーカ堂の創業者・
伊藤雅俊名誉会長とお会いした時の印象は
強烈でした。
従来の経営者というのは泰然自若として、
見るからに大物というイメージがありましたね。
トップがあまり細かいことに口を出すと、
人が育たないから駄目だという観念が
ありました。
ところが伊藤会長は、社員のやることに対して
一から十まで、いや一から百までああだ、
こうだと叱っておられる。
当時売り上げが一兆三千億円だったと思い
ますが、イメージ的にはそこらの酒屋のおやじ
とほとんど変わらない。あの姿を見て、日本の
経営者理論は間違っているなと私は思いましたね。
日本人は謙虚というものを、
お坊さんの謙虚と勘違いしている。
本当の商人の謙虚というものは、
生きるために必死になっている姿。
それこそが商人の謙虚だと思いました。
だから、私はそれまで社員を怒ったことはなかっ
たんですが、伊藤会長にお会いした日を境に
怒れるようになりました。それも必死に。
伊藤会長のお話の中で、
いまでも忘れられないのは、
「いいですね、潰れる心配のない会社の
オーナーは」と言いましたら、
「馬鹿やろう、俺だって月に一回は潰れる夢
を見るよ!」と。もしいま
全社員が百万円くれと要求してきたら、
あっという間に三百八十億円ふっ飛ぶんだと。
もしいま台湾と中国が戦争を始めたら、もし
天変地異が起きたら、もしうちが何か事故を
起こして新聞で叩かれたら、客単価はすぐに
百円下がって赤字になるんだと。
だから、うちは決して安定の中にいるんじゃない。
いつ潰れるか分からないんだと怒られました。
あれは、そごうもダイエーもマイカルも
突き進んでいた時代でした。
そんな時に、いつ潰れるかも分からんと。
そのすごさ。
やはりこれは、売れるプロセスを重視する
伊藤会長の、人生観からくる強さですね。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!