信仰に生きた八木重吉の詩は、美しい
自然描写の中に人間の本質を見事に
捉えているところにあります。
シスターでもある鈴木秀子さんが
詩の魅力を解説されています。
───────「今日の注目の人」───
鈴木 秀子
(国際コミュニオン学会名誉会長)
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八木重吉の詩のもう一つの特徴は、
自然描写の美しさと、その本質を
捉える洞察眼にあります。
心を開いて自然と一体となった時の
幸福感、躍動感が多くの素晴ら
しい詩を生み出しました。
蟲
蟲が鳴いてる
いま ないておかなければ
もう駄目だというふうに鳴いてる
しぜんと
涙をさそはれる
誰かに見てもらおうとか、褒められ
ようとか、そんなことを少しも考え
ずに精いっぱい鳴いている虫の
姿を、重吉は人間の姿と
重ね合わせました。
何かに無心、真剣に打ち込んでいる
人の姿に接した時、「生きるとは
こういうことなのか」と誰も
が目を覚まされ深い
感銘を受けます。
そして、その一途な姿は
自然と涙を誘います。
人は悲しい時、苦しい時に涙を流す
ものですが、さらに深いところ
から溢れ出るもの。
それが感動の涙なのです。
秋のひかり
ひかりがこぼれてくる
秋のひかりは地におちてひろがる
このひかりのなかで遊ぼう
この詩に書かれた「ひかり」とは、本欄
でもたびたびお話しする“幸せ発信地”の
人たちのことと考えたらいいでしょう。
「秋のひかり」のような温もりを持った
人は、その人の明るさ、幸福感がいつ
の間にか広がっていき、まるで太陽
の温もりが大地を温めるように、
いつの間にか人々の心を優し
く潤していくものです。
そういう温かさの中で……、
※鈴木さんは重吉の詩の魅力を
ふんだんに語っておられます。
ぜひ最新号をお読みください。
『致知』2017年9月号
連載「人生を照らす言葉」P102
今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!