いただいた、たった一度の人生を何に懸ける
のか――。
日本を代表する尼僧・青山俊董老師が
若き日に選んだ人生の結論は、
尼僧として仏法に生涯を捧げることでした。
愛知専門尼僧堂での日々の厳しい修行を通して
自らを掘り下げながら、多くの雲水の指導、
執筆、講演など仏法の伝道に努めている
青山老師に、その求道の歩みと人間が根を
深めるための要訣を伺いました。
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(……お話を拝聴しながら、青山老師が厳しく
自己に立ち向かいながら、自らを深く掘り下げ
ていらっしゃる姿が伝わってきました。)
〈青山〉
たった一度の命をどう生きるか。
結局はそのことに尽きるでしょうね。
選ぶ人生、授かりの人生という話をしましたが、
命というのはいま、いま、いまの連続です。
いまここを、いただいた命に相応しい生き方と
して選んでいく。
そのことで人間が磨かれ、
人間としての根が深まっていくと思います。
そして深まるほどに、
足らない自分というものに気づいていく。
何事も一所懸命に打ち込もうとする姿勢は
もちろん大事だと思いますが、
それだけではくたびれてしまいます。
しかし、生かされた命ということが
本当に分かってくれば、
自ずからそれに相応しい生き方を
しないではおれなくなる。
学ぶほどに足りない自分に気づけば、
限りなく学ばないではおれなくなる。
そうすれば学ばせていただくこと自体が
大きな喜びですわな。
「遊化(ゆけ)」という言葉がありますが、
私など毎日、知らなかった、足りなかった、
気づかせてもらえたと、その喜びばかりです(笑)。
(――人生が一度きりであることを強く自覚する
ことが、より人生を豊かにしてくれるという
ことなのですね。)
〈青山〉
そう思います。人生は一度きり、
それをどう生きるかという自覚が生まれれば、
吉川英治さんが「我以外皆我が師」とおっしゃって
いるように、よいことも悪いことも、自分の
心次第ですべて人生の根を養う材料にする
ことができます。
(※本記事は月刊『致知』2020年11月号
特集「根を養う」より一部を抜粋・編集した
ものです)
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!