どんなに小さな役割のように思えても、一人ひと
りにはかけがえのない天命が授けられていると
『致知』でお馴染みの鈴木秀子先生はおっしゃ
います。
9月号では三好達治の詩を紐解きながら
そのことを伝えられています。
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『致知』の連載陣のお一人だった
村上和雄先生(筑波大学名誉教授)が生前、
次のような話をよくされていました。
「一人のノーベル賞受賞者の背後には、
多くの無名の研究者たちが存在しています。
富士山の頂上が朝日を浴びて光り輝く光景は、
えもいわれぬ美しさですが、それは広大な
裾野があるからこそ感じられる美しさです。
それと同様に、多くの発見や発明は、歴史に名
を留めない無数の人たちの努力の結晶なのです」
人類の歩みの中で名を留めるのは、ごく限られ
た人たちです。華々しい注目を集めるの
とは反対に、失敗続きのままこの世を去る人
たちもいることでしょう。しかし、傍目には報
われない人生のように見えるとしても、
そういう人たちの地道な努力が直接的、
あるいは間接的にノーベル賞受賞者などの
人物の輩出に繋がっていることを、
村上先生の言葉は私たちに教えてくれています。
村上先生の言葉に思いを馳せている時、
三好達治(1900~1964)の一篇の短い詩が
ふと頭に浮かんできました。
裾野
その生涯をもて 小鳥らは
一つの歌をうたひ暮す 単調に 美しく
疑ふ勿れ、黙す勿れ
ひと日とて 与へられたこの命を―
ここでいう小鳥は私たち人間に置き換えること
ができます。
どんなに小さく目立たないものだとしても、
私たちにはその人でなくては果たすことのでき
ない大切な仕事、役割が与えられています。
それは私たちの小さな思惑を超えて
天から賦与されたものであり、
一人ひとりはそれぞれの天命を全うするために
この世に生を享けてきたと私は信じています。
★鈴木秀子先生の連載「人生を照らす言葉」は
毎号好評をいただいています。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!