ともに日本の伝統文化の分野で活躍
する染色家の森口邦彦さんと数寄
屋建築棟梁の中村義明さん。
偉大な父の後を継ぎ、いま見事にその道
で匠として独自の世界を切りひらく
お二の職人魂に学びます。
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森口 邦彦(染色家/人間国宝)
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中村 義明(数寄屋建築棟梁)
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【中村】
森口さんは染色家の道を歩んでいく、
極めていく中で心掛けてこられた
ことはありますか。
【森口】
まだきちんとした作品ができていない
という思いが強いので、この道を極
めたと言える立場にはありませ
んが、私はただ長いこと
辛抱してきただけです。
何事でも大切ですよ、辛抱することは。
あとは根気。自分が決めたことに
対して決して諦めない。
それから、やっぱり自分に素直
になることですかね。
他人がどうこうではなく、自ら求める
ものが何なのかということを常に
自分に問い掛けられるかどうか。
そうして辛抱して根気強くやっていけば、
必ず道は開けてくるんだと思います。
中村さんはいかがですか。
【中村】
私の場合は、やっぱり仕事を好きに
なることでしょうね。
これは父が言っていたことでもあります
が、建築は建築家がつくるものでも、
大工がつくるものでもなく、
お客様がつくるものなんです。
建築家はね、お客様の夢を
つくってあげるんですよ。
ですから、建築の仕事を好きになるには
お客様のこと、お客様の夢を好きに
ならないといけないわけです。
私もうちの職人も皆、父が言ったのと
同じように考えて、住宅だったらそこ
でよい子が育つようにつくらないと
いけない、商業施設なら事業主が
儲かるようにつくらないといけ
ないというように、お客様の
夢を実現して、運命を伸ば
していくような建築を
心掛けてきました。
その人らしい家に住んでもらう
こと、それが一番です。
【森口】
仕事を好きになる、とても
大事なことですね。
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仕事力を高めるヒントがここにある
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『致知』2018年6月号【最新号】
特集「父と子」P60
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝