1 命懸けの仕事が自分を鍛えた
2 今日の「一日一言」/世の中は公平
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1 命懸けの仕事が自分を鍛えた
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鍵山秀三郎(日本を美しくする会相談役)
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高校卒業後、自動車用品会社に
勤め始めた鍵山さん。
待っていたのは、命の危険すら
感じるほどの過酷な環境でした。
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入社して間もない頃は何の知識も技能も
ありませんでしたから、商品の配達や
売掛金の回収に駆け巡り、合間を
縫って自動車用品をつくった
りメッキ加工を施したり
する技術を習っていきました。
また、米軍の払い下げ物資を落札して
トラックで引き取ってくるという
仕事もしていました。
高校で習った程度の英語力しか
なく、喋ることはできません。
それでも会社から指示された入札の基準
に従って見よう見まねで商品を落札し、
税関に申告して税金を納め、4トン
トラックを3~4台連ねて私の
親くらいの年齢の労働者
ばかりを10~20人
ほど乗せて、引き取りに向かいました。
朝九時から11時半までの間に積み終え
なければ、残っている商品があっても
締め出されてしまうため、何として
も時間内に積もうと必死でした。
当時はフォークリフトなどなく、すべて
人力で積まなければなりません。
中には自動車とは関係ない物も多く、
自分の背丈より大きな直径2メート
ルのタイヤもありました。
転がしている途中で倒したら起こせま
せんし、もし下敷きになったら
大怪我をするでしょう。
雨や雪の日は地面が滑りやすく、神経
をすり減らすようにして、まさに
命懸けで運びました。
ブレーキの故障しているバスを、立川
基地から坂の多い道を通って西新橋の
会社まで運転したこともあります。
他にもたくさん辛い、危険な
仕事をしてきました。
それまで経験したことのない、なおかつ
自分の能力を遥かに超えることを要求
されてきたわけですが、それを
私は拒否しませんでした。
できないと決めつけないで、
とにかくやってみる。
できるか、できないかでは
なく、やるしかない。
そういう心掛けで取り組んできたおかげ
で、能なしで意気地のなかった自分
を鍛えることができたのです。
「やったことないからできません」と
いう台詞は、逃げている人間の
言い訳にすぎません。
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成功と失敗を分けるのは、能力の差
ではなく、どれだけ真剣であるか、
その度合いによって決まる。
そう語る鍵山さんの真剣勝負の二十代
の体験談の続きは本誌をお読みください。
『致知』2018年10月号【最新号】
連載「二十代をどう生きるか」P114
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2 今日の「一日一言」/世の中は公平
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私のみるところでは世の中
は案外公平であります。
案外というよりも、むしろ
非常に公平であります。
多少の例外はあるかもしれません
が、本当にやればやっただけ
のことはあります。
ごまかしたり、手を省いたりしていては、
特に学問の世界ではだめであります。
『平澤興一日一言』より
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!