戦後の泥沼から理想を掲げて這い上がり、いま
や世界最強国家の1つになったドイツ。しかし、
その理想主義に足をとられてエネルギー・
難民政策に失敗し、EUでも「反ドイツ」
の動きが止まらない。「民主主義の
優等生」は、どこで道を間違え
たのか?ドイツ在住の作家がいま、
日本人に伝えたいこと。
ときにドイツは中国を「経済国家主義」など
と批判するが、これはある意味で、少々
批判しても深刻な影響が出ないほど、
両国の関係が安定してきたと
いうことかもしれない。
中国マネーと中国市場の威力はつとに大きく、
ドイツ人は抗えないし、いまのところ
抗うつもりもない。
独中関係は、互いに発展できる相手と見る
うちは、これからも蜜月状態が続くだろう。
一帯一路からアフリカ、インドまで含めて、
両国の展望は、明るい未来につながっている。
もちろんほんとうにそうなるかどうかは、
まだ誰にもわからないが、そんなことは
気にしないのが、この両国の強さの
所以である。
ドイツと中国の関係は、どこか狐と狸の壮大
な化かし合いに似ている。
ドイツ人は、とても底力のある人たちだ。
もし、地球が突然、氷河期のように寒くなっ
たり、感染病のパンデミックに見舞われたり
して、人類が危機に陥ったなら、日本人は
滅びドイツ人は生き延びるような気がする。
逆境になって初めて本領を発揮する原始的な
生命力のようなものを、彼らはもっている。
日本人のもつ繊細さと、まさに真逆な
特質といえるかもしれない。
ドイツ人のしぶとさと、日本人のひ弱さ。
私は、そのどちらも嫌いではない
ドイツは、イギリスやフランスほどの階級
社会ではないが、日本ほど無階級
な社会でもない。
上層にはきわめて優秀な人たちがいて、
陰に陽にドイツを誘導している。
そして、中層をなす大勢の人たちが、真面目
に働き、誘導された方向にドイツをしっ
かり牽引していくという構図だ。
これがうまく機能して、戦後の瓦礫の
なかから強い国家が育った。
そのドイツが、最近、なんだかおかしい。
みなが「民主主義」やら「人権」を語りすぎる。
政界でも、メディアでも、そして巷でも、
現実離れした理想が滔々と語られる。
そのくせ、いや、そのためにかえって「言論
の自由」が抑圧されている気がする。だから、
最近のドイツはなんとなく息苦しい。
社会的な制約はどんどん外されていくのに、
政治的発言においては、縛りが増えた。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!