ひとりでじっくり考えてみて.何をやるかを決断する 第1,022号

 10年後の履歴書を書く、中学校の

教科書に戻る、メモ魔になる、

退路を断って、カネを使う。

小さな決断で大きな成果。

 「飽きない力」に目覚めよ。

 常に基本に立ち返って判断をチェック

するこの重要性を伝えたい。

 基本を繰り返す、何度も繰り返す、その

ためには飽きない力がとても重要になる。

 私が仕えた小泉総理は、常に「王道の

政策をやれ」「基本方針通りにやれ」

「基本がブレるな」と言ってくれた。

 基本概念を、恐れずに繰り返し語る

ことは、その人の強さである。

 阪神ファンの私は、昔、9連覇を達成

した巨人に阪神が勝てないことに

とても悔しい思いをしていた。

 当時の巨人の野球は、徹底した

基本遵守主義でした。

 巨人の川上哲治監督の練習風景は

「鉄(哲)のカーテン」と呼ば

れるほど、門外不出でした。

 なぜなら、定石通りの基本練習ばかり

を繰り返していたからです。

 しかし、そういった一見格好悪い基本に

熱心だったからこそ、強かった。

 川上巨人はボール球には手を出さない、

ランナーが一塁に出たら必ず送り

バントを成功させ、得点圏に

ランナーを進める。

 そういった手堅い野球ができた。

 非常事態のときこそ、基本が大切。

 日本の基礎の積み重ねは素晴らしい。

 小泉内閣が終わる前の晩に小泉総理が、

総理公邸に呼んでくださり、

食事をしました。

 そのとき、後継者の安倍晋三さん

も同席していました。

 総理最後の夜ということもあり、小泉

さんは上機嫌でいろいろ話して

くださりました。

 しかしその多くが、実は安倍さんに語り

かけるように話をしており、実質的に

総理としての心得の伝授であると、

私には感じられました。

 その中に、決断力の話がありました。

 小泉さんは、こう言っていた。

 「いろいろな人の話を聞きなさい。

 とくに民間の人の話を聞く

のはいいことだ。

 しかし、そのときは何も言うな。

 ありがとうございました、勉強になり

ました。といって帰ってきなさい。

 すべて自分の腹に落として持ち帰り、

ひとりでじっくり考えてみて、何

をやるかを考えなさい」

 私は小泉さんに「総理の国会の質疑や

記者会見での絶妙な切り返しすごい

ですね」と話したことがあります。

 それに対して、こう言っていました。

 「竹中さん、あれは相撲の立会い

と一緒、一瞬の判断だ。

 これを養うために稽古している」

 これを聞いて私は理解しました。

 小泉さんは歴史小説や歌舞伎・オペラ

が大好きらしいが、きっと小説を読ん

だり、劇を鑑賞しながら、いろい

ろなケースとして常に考えて

いるのだろうと。

 大枠の数字を持て。

 大枠の数字を語れる人は周囲

からの信頼も勝ち取っていく。

 戦略は細部に宿る。

 情報源は複合的であれ。

 最後は自分で判断しなければならない

重要な立場であればあるほど、組織

の中で正式に上がってくる情報

とは別の、複線的な情報源

を持っていることが重要になる。

 洞察力を高めるためには、

1.歴史に学ぶこと。

2.古典から学ぶこと。

 いろいろな組み合わせが力を生む。

 そのためには、

1.思いついたことは、メモする。

2.移動の時間を自由に発想

を広げるようにする。

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今回も最後までお読みくださり、

    ありがとうございました。感謝

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