やっといろんなものが分かってきて人生が楽しくなってきた 第 709 号

 比叡山で最も過酷な行と呼ばれる「十二年

籠山行」を戦後初めて満行した

堀澤祖門さん。

 今年米寿を迎えられる堀澤さんのいまの心境

とはどのようなものなのでしょうか。

───────「今日の注目の人」───

堀澤 祖門(三千院門跡門主)
   ×
宮本 祖豊(比叡山円龍院住職)

───────────────────

【堀澤】 
 私は70年近く行を続けてきたわけだけど、

行そのものには終わりはない

 ただね、終わりはないけれども、いつまでも

「まだまだ」じゃダメ。

不安感で覆われてしまうからね。

 それを断ち切るにはどこかで「よし」

いう気持ちを持たないといけない。

 「よし」ということは終わりじゃなくて、

自分で納得してまた新たに進んで

いくということ。

 進行形と、ゴールに既に着いていると

いうことは同時なの。

 でも、自分で「よし」と手応えを感じる

までには50~60年かかったな。

【宮本】 
 50~60年ですか。

【堀澤】 
 80くらいになってやっと、人間とか仏教とか

いろんなものが分かってきて、人生が

楽しくなってきた。

 やっぱり高いところを求めているから、

そう簡単に満足できませんわ。

 出家した時に考えたのは、私の師匠は確かに

叡南祖賢だけれども、叡南祖賢だけじゃない。

 そのバックにはお釈迦様がいる。

 だから、お釈迦様のレベルまで

行かなきゃならない。

 本当の師匠はお釈迦様だと。

 そう考えると、もうこれでいいとか、

もう行は終わったなんてことはない。

 無窮って言葉があるように、道を求める

というのはそういうことなんだね。

【宮本】 
 本当の師匠はお釈迦様というお話とも関連

しますけれども、私が師匠から教えて

もらったことの中で、特に印象

に残っているのは「縦と横の話」です。……

 ※お二人の修行人生については誌面で

 詳しく紹介されています。

 『致知』2017年7月号

        特集「師と弟子」P64  

今回も最後までお読みくださり、ありがとう

            ございました。感謝!

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