陶芸家で人間国宝の井上萬二氏は現在93歳。
『致知』9月号(最新号)トップインタビュー
にて制作に勤しむいまの心境や、これまでの
歩みについて7頁にわたってお話し
されています。
その生き方や仕事への姿勢は
私たちに多くの示唆を与えてくれることでしょう。
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(──93歳いまなお現役を貫く人間国宝の
陶芸家が佐賀県有田町におられると伺い、
やってまいりました。)
(井上)
確かに満93歳ですが、私は「ようやく39歳に
なりました」と言っているんです(笑)。
93歳といっても、ちゃんと朝8時から夕方5時
まで、週6日間勤務して作陶に励んでおります。
家内は7年前に亡くなりましたけど、
まだ元気だった頃、朝ご飯もそこそこに
8時近くなるとサッと仕事に向かう私を見て、
「そんなに急いで行かなくても、誰も文句を
言いませんよ」といつも言っていました。
確かに私が大将だから文句を言う人はいません。
それでも例外をつくらず、ちゃんと時間通りに
仕事場へ行くことが習慣になっています。
土曜と日曜は事務所のスタッフが休みですから、
家の者が留守番なんです。私も日曜は
来客の応対をしたり事務的なことをしたり、
あるいは美術館へ展覧会を観に行って
構想を練ったり。
ですから、休みなく毎日働いていますよ。
(──まさしく仕事と一体になって
いらっしゃいますね。)
(井上)
そういう生活を続けられているのは、運よく親が
健康に産んでくれたこと。また、その時その時に
鍛錬と精進を積み重ねてきたからです。特に、
15歳前後の若い時期に海軍での過酷な訓練を
通して、強靭な体力と精神力を叩き込まれた。
もちろん戦争は絶対にあってはならないけれ
ども、人間形成という点では本当に
かけがえのない経験だったと思うんです。
戦後、陶芸の修業を始めてからは、
「域に達する」というのは限りがないけど、
何の道でも「切り」っていうのはある。
一日でも早く一歩でも早く、
そこに到達しようと思って、
月月火水木金金で人並み以上に努力したんです。
17歳でこの道に入って、気づけば今年で76年。
そういう精神でひたすら仕事に打ち込んで
きました。それが身体に染みついて、
いまだにずっと続いているわけです。
暴飲暴食しないように理性を持って節制しますし、
酒も煙草もやらない。若い時は自分の技を
磨く努力だけでよかったですが、近年はそれに
加えて自分の健康を保持するための努力、
この2つの努力を実践しているんです。
(──仕事に打ち込む、
それ自体が健康の秘訣なのでしょうか?)
(井上)
やっぱり仕事をしている時が一番健康的ですよ。
93歳になっても若い者に負けないくらい、
まだボケもしないし、溌剌としているし、
発想も湧いてくる。
展覧会場で「なんでそんなに元気なんですか。
秘訣を教えてください」
とよく聞かれるので、「恋してますから」
って言うんです(笑)。冗談半分ですけど、
仕事とは死ぬまでが恋なんですね。
★井上さんはこの話に続いて、
どのようにして技と心を高めたのか、
人生を変えた出逢い、
運を掴むために大切なこと、
よいアイデアを生み出す秘訣、
伸びていく人と途中で止まる人の差
などについてお話しただいています。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!