2020/04/16 (木) 8:04
地方の公立高校サッカー部を
全国屈指の強豪校へと導き、
50人ものJリーガーを輩出してきた平岡和徳氏。
体験を通じて築き上げてきた指導理念を交え、
一流のチームづくり、一流の人づくりについて
語り合っていただいた
『致知』2018年9月号の記事の一部を
ご紹介します。
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「年中夢求――百分間限定練習」
平岡和徳
(熊本県宇城市教育長・大津高等
学校サッカー部総監督)
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大津高校サッカー部も最初は無気力な連中が
多く集まっていました。
ちょっと目を離すとボールの上に座っている
とか、練習時間にメンバーが集まらないので
教室に行ってみると女子と喋っているとか、
彼らにはサッカーを強くする上で欠かせない
人間力が欠けていて、
ゼロからつくり上げたという点では
熊商と一緒でした。
しかし、熊商でのやり方がそのまま大津高校で
通用するわけではありません。
しかも、熊本県国体が間近に迫っていた時で
県民の期待も高く、ゆっくりと選手たちを
育てる余裕はありませんでした。
スピード感、機動力を意識しながら
選手たちを変えていったんです。
例えば、自分たちの思いを文字化、
可視化して共有することです。
会社でもそうですが、ビジョンを明確に
しないと組織は動きませんね。
僕たちの場合、そのビジョンが
「年中夢求」です。
これには一日一日の二十四時間を自分流に
デザインし、夢の実現に向かって凡事を
徹底し、身体を鍛え、心を磨き、
人生をプロデュースできる人になるという
意味を込めました。
その上で、夢の実現のためには
「本気のオーラ」を出すことが重要であり、
それがなくては何も始まらないことを
繰り返し伝えていったんです。
選手たちを本気にさせるのが僕の
ミッションです。
人間、終わりがないと途中を本気で頑張れ
ないものです。そこで大津高校では練習時間
を百分と決めて、それを全力でやり切る
ことを習慣化しました。
この百分間はストーリーを大切にし、
一切の無駄をなくします。
コーチの笛を合図にウォーミングアップから、
パスワーク、シュート、戦術練習、
ゲームへと次々に進み、
選手たちの足が止まることはありません。
練習が十五分刻みだとすると、
十分過ぎくらいから「ラスト何分」と追い
込みをかけ、ギリギリまで全力を出させ、
さらに一歩を踏み込ませた上で、
次のメニューに移ります。
ここでできたよい流れが次の日の朝
練習に繋がるんです。
選手が「あのトレーニングがゲームの中で
このように繋がるのか」と感じてくれれば、
そこに自ら考え行動する力(考動力)が
生まれます。
百分という時間に無限の工夫をする
チャンスがあることに気づけば、
普段の生活も変わってきます。
自ら課題を発見し、問題を解決しながら
二十四時間をデザインする力も
その中から生まれてくるんです。
そういうメソッドを少しずつつくり上げて
選手の意識を変えていた時、
志の高い新入生が入部し、
彼らが二、三年生になる時に
国体で二年連続準優勝を果たしたんです。
高い目標を持って日々のトレーニングに
全力で励む選手は、いつも変化を求めて
いる分、成長は早いと思います。
変化の先にしか進化はありませんので、
変化を創り出す内側のエネルギー、
「内発力」がないといけません。
その大前提となるのが主体性です。
やらされ感では何も行動(考動)は変わらない。
よくなるのは返事だけです。
あなたの人間力を高める月刊誌『致知』
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!