アメリカが世界の覇者となっていく過程を振り返える 第1,434号

 ハワイ革命からソヴィエト、キューバ、ベトナム、

イラン、イラクそして日本に原爆を落とし、朝鮮

戦争に参画、アメリカと世界のねじれた関係

を描く。注目の郵便学者が挑む、異色の

世界近現代史。切手という資料から

国際関係を鮮やかに読みとく気鋭の力作。

 伝統的な食文化の重要性を強調するスローフード

運動というものがある。

 ♠日本ではご当地グルメの一形態と見られがち

だが、その発端は、1986年、ローマにマクド

ナルド一号店が開店したことに強い危機感

を抱いたイタリア人によって始められたものだ。

 そもそも、スローフードというネーミング

じたいが、アメリカ型ファーストフード

に対するアンチテーゼとして唱えら

れたものである。食文化の侵略

に対する抵抗運動という色彩

が非常に濃厚である。

 マクドナルドに代表されるアメリカの物質

文化を受け入れてはいても、必ずしもアメ

リカ合衆国に対して親和的でない国や

地域というのも少なくない。

 20世紀の100年を通じて、アメリカという

国は、政治、経済、文化のあらゆる領域

において世界的な影響力を拡大していった。

 ♦だが、その必然的な副作用として、アメ

リカは世界各地でさまざまなレベルの

抵抗に直面し続けてきた。

 そこで本書では、アメリカと激しく敵対して

きた過去を持つ国や8つの地域の視点から、

アメリカが世界の覇者となっていく過

程を振り返ってみることにした。

 そうした国々の掲げる国家の意志やイデオロギー

を分析する手法としては、さまざまなスタイル

が考えられる。本書では国家のメディアと

しての切手 (数センチ角の切手に様々

な思惑のエッセンスが凝縮され

ている) や郵便に注目して

議論を進める。

 内藤陽介『反米の世界史:郵便学

            が切り込む』

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 今回も最後までお読みくださり、

       ありがとうございました。感謝!

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