そしてクールビズのファッションショーは
トヨタの本拠地・名古屋だった。
私は奥田会長に電話で尋ねた。
「6月5日の日曜日、名古屋ですけど、ご予定は
空いていらっしゃいますか?」
「ああ、大丈夫、空いてますよ」
これでプロジェクトの8割は成功した、、、
そう実感した瞬間だった。
「実は、、、」と、ファッションショーでのモデル
依頼の話を切り出すと、さすがに、
「えーっ、ファッションショーのモデルですか??」
としばらく絶句されていたが、結果は快諾だった。
モデル集めの幸先は整った。
なぜなら、次から「奥田会長も参加されます」
という、強烈な殺し文句が使えるからだ。
松下電器の森下会長、オリックスの宮内会長
からも快諾を得た。
人脈は何にも増して重要だ。
それはあえてここで書くまでもない。
誰しも、日々のご縁を忘れず、相手に敬意を払い、
日ごろから人脈づくりに最大限のエネルギー
を用いることが大切だ。
奥田、森下、宮内と、3人の実力経営者がそろった。
この時点で、成功率は80%から90%へ
と跳ね上がった。
これから先は、永田町で言うところの「奉加帳方式」
でいくのみだ。
「奥田さんや森下さんも参加」という強いお墨付き
が、「そんな方々が出るのなら」という、大きな
安心感を生む、、、私は絶対的に確信していた。
わたしは政界入りする前、経済番組のキャスター
時代に、経営者本や株式市場に関する本など、
フィクション、ノンフィクションを問わず、
片っ端から読み漁った。
株式などの投資関係者が視聴者に多く、どの番組
より熱心な視聴者を抱える経済金融番組の
キャスターともなると、うっかりした
発言はできない。
視聴者の熱心度でいえば、馬券購入で直接自らの
財布に影響のある競馬番組か、金融や経済
がらみの番組が1番ではないかと思う。
だから経済事件などへのコメントも、経済や
株の裏の裏まで熟知している必要がある。
かと言って、自分自身が裏の裏に精通する
わけにはいかない。
そこで経済小説、なかでも清水一行さんの『小説
兜町』『虚業集団』など、片っ端から読み漁り、
疑似体験する方法を取ったこともあった。
ビジネス書を読む習慣は、政治家になっても
全く変わっていない。
特にマーケティング関連の書物から得たヒントは、
政治や行政といった分野でこそ活かせると、
長年感じていた。
政策や行政の場合、顧客は国民、
納税者、有権者である。
商品は政策であり、将来への希望である。
それをどう提供し、納得してもらうか。
政治や行政の世界こそ、究極のマーケティング
が必要な分野なのだ。
そんな思いで政党運営などにマーケティングの
手法を活かしてきたこともあるが、行政の最高
責任者としての舞台が与えられている大臣
だからこそ、これまで学んできた
「理論」を「実践」するしかない、、、
ずっとそう考えてきた。
わたしの座右の書は、先の大戦での敗戦を客観的
に分析した『失敗の本質』という本だ。
本書はミッドウェー海戦、ガタルカナル攻略戦、
インパール作戦など、様々な戦いにおいて、何
が敗因だったのかを学際的に分析している。
クラウゼヴィッツの『戦争論』や、孫子の『兵法』
も参考になる。
小池百合子
『小池式コンセプト・ノート:プロジェクトは
「大義と共感」で決まる』
の詳細,amazon購入はこちら↓
今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。 感謝!