ナポレオンを憎んだり恨んだりする立場を超越していた 第 2,664 号

 おのれの野望のままに大帝国を夢見たナポレオン

と勢力均衡による平和をヨーロッパにうちたて

ようとしたタレイラン。二人の天才の協力

と対立を中心に、19世紀の虚々実々の

「外交」を描く歴史長編。

 フランスの外相だった、タレイランは、名門

の家に長男として生まれながら、足の障害の

ため、伯爵の称号を継ぐことができなかった。

 軍人の家系でありながら、僧侶にならなけ

ればならない苦渋の思いは、少年時代から

タレイランの逆境に負けない強靭な性格

を作り、孤独の中で読書と思索にふけ

る習慣を育てたのだった。

 タレイランは、当時の有名な学者や財政家、劇

作家などの友人を毎週自宅に招いて、英国の

政治や財政の造詣を深めた。

 ヴォルテールなどの哲学者の著作に親しみ、

自由思想の哲学を信奉していた。

 青年時代のタレイランは、片足が不自由で

あったが、美男子であり、また寡黙であり

ながら、人の心をとらえる機知とユー

モアにあふれる寸言で社交界の

噂になっていた。

 ナポレオンは、妻のジョゼフィーヌからパリ

の社交界の付き合いで知っているタレイラン

のことを聞き、彼の経歴や教養の深さを

知った。

 タレイランを自分に欠かせぬパリの

政界の相談役と考えた。

 タレイランは、「フランス革命の前に生きた

者でないと、人生の快楽がどういうものか

知ることはできないだろう」と語った。

 それは優雅な爛熟した文化の時代であった。

18世紀末の王朝最後のパリにおいて、貴族

や銀行家たちのサロンでは、人々が集ま

って詩や戯曲が朗読された。また音楽

が演奏され、夜食をとりながら哲学

や文学、芸術について知的な会話

がはずみ、夜遅くまで各国の

政治や経済が論じられた。

 ナポレオンは、片方の足を引きずるように

歩くタレイランの悠揚迫らぬ態度に、

奥深い人柄を感じた。

 ナポレオンは、今まで文通を交わしてフランス

の政治と外交について語り合ってきた相手で

あるタレイランが、王朝時代の教養と知識

を身につけながら革命に身を投じ、政界

の裏面に通じたベテランの政治家で

あることをナポレオンは知っていた。

 タレイランは、ナポレオンの天才的な長所

を若い時からよく知っていたがゆえに、

彼の欠点も知り尽くしていた。

 ナポレオンを憎んだり恨んだり

する立場を超越していた。

 友情と同志愛から抗争と敵対に至る二人の関係

はフランスの国運を賭けた革命と戦争と平和を

めぐる外交思想の対立であり、天才的軍人

政治家と思想家外交官の人間ドラマだった

高木 良男  (著)『ナポレオンとタレイラン』

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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