ロシアの対外政策を、その特殊な主権観を
分析しながら読み解く。今やロシアの勢力
圏は旧ソ連諸国、中東、東アジア、そし
て北極圏へと張り巡らされているが、
その狙いはどこにあるのか。
北方領土問題のゆくえは。蜜月を迎える
中露関係をどう読むか。ウクライナ、
グルジア(ジョージア)、バルト
三国など、旧ソ連諸国との戦略的関係は。
中東政策にみるロシアの野望とは。ロシアの
秩序観を知り、国際社会の新たな構図
を理解するのに最適の書。
北方領土の軍事的価値にも言及。
第41回サントリー学芸賞(社会・
風俗部門)受賞作品。
商店、学校、住宅などが海沿いの通りに並ん
でいる。看板や標識はもちろんロシア語で、
街の造作もどう見てもロシアのそれだ。
事情を全く知らない人物を目隠ししてここ
まで連れてきたとしたら、少なくとも
日本だとは思わないだろう。
よく「北方領土でロシア化が進んでいる」と
いったことがメディアで言われるが、「進ん
でいる」というよりもロシア化は「完了
している」というのが筆者の印象である。
それも5年前に比べると建物の多くが綺麗に
リノベーションされていたり、かつては泥
道だった道路がアスファルトで舗装され
ていたりと、インフラは格段に改善
されている。
本書のテーマを一言で述べるならば、
ロシアの「境界」をめぐる物語、
ということになろう。
ロシアの境界をめぐる物語を始めるにあたり、
まずは地政学という観点から冷戦後の
ロシアを見ていくことにしたい。
ロシア人は、この地政学という言葉が大好
きで、ロシア人との会話やロシア語の文章
にはやたらに「ゲオポリティカ(地政
学)」が登場する。
アイデンティティと地政学の癒着
冷戦後のロシアが抱え込んだ大問題は、この
多様な民族・文化・宗教がなぜロシアという
一つの国家の下にあるのかを説明する原
理がなかなか見出せなかったことにある。
小泉悠『「帝国」ロシアの地政学。
勢力圏で読むユーラシア戦略』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!