ロシア政府はインターネットを「西側のインフラ」と捉えている 第 2,749 号

 「ロシアとロシア人の魅力を、衣食住の面から

伝えたい」という本書の内容は、プーチン大統

領の蛮行によってその色合いを変えた。新型

コロナウイルスの蔓延下、ロシアを観光で

訪れることはかなわない。何より頭を

よぎるのは突然、ロシア軍の攻撃に

よって同胞を失い、住む家、町、

国を離れざるをえなくなったウクライナ人

の悲しみだ。日本人のロシアやロシア人

に対するイメージも、好ましくない

ものに転じたかもしれない。

 しかし、だからこそこの本を手に取って

いただきたい。もちろん「ロシア政府

とロシア人は別」と簡単に割り切る

ことはできない。では両者の関係

がどうなっているのかという

ことを、なるべく柔らかく、

わかりやすく説き、「ロ

シアという国は何か」

について、理解を深める必要がある。

 私はかつて自分で落語をやっていたことが

あり、つい話を面白い方向に持っていって

しまいがちな悪癖がある。

 そうして多少盛った表現の中から、「商業

出版的に特においしい」部分が強調される

と、出来上がったロシア像はひどく

歪んだものになってしまう。

 これではいかんということで、「語り下ろし」

は参考程度に留め、事実上いちから書き直し

て出来上がったのが本書です。

 ロシアのマフィアは、刑務所に入れられる

度に、正教の象徴であるタマネギ屋根の

聖堂の図を入れ墨するそうだ。

 タマネギ屋根の数が多いほど、何度も「ムショ

入り」してきたことになるわけで、これが

彼らの勲章であり、箔付けにもなる。

 シベリアの流刑地でも、「刑期が長い人

ほど偉い」「年寄りを敬え」といった

独自のルールがある。

 「自分たちは法律には従わないかもしれない

が、掟には従う、非常に真っ当な存在だ」と

いう自負がある。その根底には宗教的敬虔

さがあり、タマネギ屋根の入れ墨は

それを象徴している。

 ロシアは格差社会だ。エリートとそうでない

人では、まるで違う暮らしをしていて、

お互いあまり交わらない。

 ロシアのブロガーというのは、とにかく怖い

もの知らずで、メトロ2の痕跡以外にも打ち

捨てられた軍需工場に入り込んで写真や

動画をアップする人もいる。

 過激なことをするほど再生回数も伸びるので、

こうした活動が一種のブームになっていた。

しかし最近では政府の統制が強まり、下

手なことをするとFSBに拘束される

こともあるので、下火になってきた。

 ロシアにはものすごく「濃い」オタクたちが

いて、たとえば軍事マニアなんかは、ロシア

国防省の発注公告とか、軍需産業の決算

報告書とかを読んでるわけ。

 そうすると、全く公表されていなけれども、

こんな新兵器を開発しているらしいとか、

北方領土に建設する新兵舎の収容人数

が○○人だから、配備兵力もこの

くらいだろう、なんていうこと

が割り出されてしまったりする。

 2010年代に入ると、風向きが変わり、

ロシア政府もインターネット監視

に本腰を入れ始めた。

 ロシア政府はインターネットを「西側の

インフラ」と捉えている。

小泉 悠 (著)『ロシア点描』

の詳細及び書籍購入はこちら ⇑

  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

スポンサードリンク

♥こちら噂の話題満載情報♥

ぜひ、いいね!を「ぽちっ」とお願いします

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください