日本の伝統建築に一生を捧げる
建築家・今里隆さん。
常に新しいものを創造することを課せ
られた建築家にとって、最も大切な
資質について語っていただきました。
────────[今日の注目の人]───
★ 創造の源は人間力 ★
今里 隆(建築家)
×
村上 和雄(筑波大学名誉教授)
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【村上】
建築家として常に新しいものを創造する
上で、どんな力が必要だとお考えですか。
【今里】
想像する力というのは、その人間の
人間力に関わってくると思いますね。
もっとも、それは特別な能力ではなく、
いろいろなことをやっていくうちに
自然と備わってくるものでは
ないでしょうか。
建築家にとってお施主さんとの関係を
良好に保つことがもちろん大切ですが、
やはり頻繁に現場に出掛けて棟梁を
はじめ、左官や建具の職人さん
たちと仲良くなることも大
切なことの一つです。
そうすることで、一人ひとりが持っている
ものを上手に引き出すことができます。
職人というのは、「これはよい建築に
なりそうだ」というのは図面を見た
だけで瞬間的に分かるものです。
ただ、そうはいっても人間、なるべく
楽をしようと思うこともある。
だから、言葉は悪いかもしれませんが
彼らを乗せて、その力を引き出しな
がら最高のものに到達させる。
オーケストラでいえば、私たち建築家
の仕事というのは、指揮者の役割を
果たしていると思うのです。
そのためには建築に関する知識だけ
じゃなく、美術や歴史など広い分野
にわたる勉強が必要であるし、お
施主さんに信頼され、職人さん
たちがこの仕事は面白い、や
りがいがあると思ってもら
えるような人間力が要求されます。
人間との調和を図ることが、よい建築
を造り上げていく上でとても
重要なことですね。
【村上】
研究も一人ではできないのでチーム
を組んでやりますが……
ただ伝統に縛られるのではなく、一つ
先の時代に合わせて新しい日本建築を
模索し続ける今里さんの話の続きは、
本誌でお楽しみください!
『致知』2016年7月号
連載「生命のメッセージ」P112
⇒ http://online.chichi.co.jp/ext/teiki.html
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。 感謝!