女性報道記者のパイオニアで、現在は
ニュース番組のキャスターなども
務める下川美奈さん。
その下川さんに、報道記者として大切
にしてきたことや情報を入手するコツ
についてお話しいただきました。
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下川 美奈
(日本テレビ放送網報道局社会部
副部長解説委員)
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──報道記者として大切にされている
ことは何ですか。
例えば、ニュース会見の場などで当局の
方が言えることって、実は持っている
情報の3割ほどなんですね。
その3割を基に私たちは情報を発信して
いるのですが、それをただ垂れ流すの
ではなく、自ら取材して肉づけし、
真相に近づけた形で配信しています。
3割しか知らないで3割を伝えるのと、
全容を把握した上で3割をお伝えす
るのとではやっぱり視聴者への
伝わり方も違います。
少しでも入手できる情報を百%に近づけ
ることが報道人としての使命であり、あ
る意味記者の腕の見せ所だと思います。
──情報を入手するコツなどはありますか。
情報を持っている方も、顔の見えない
人に話したくないでしょうから、「こ
いつ信頼できるな」と肌で感じて
もらえるような信頼関係を
築けるかだと思います。
そのためには、労を惜しまず足を運ぶ。
それが基本です。
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刑事の世界でも「現場百度」という言葉
があって、無駄だと思っても100回同じ
現場に通うと、全く違うものが見え
てくると言われています。
それって本当に真理で、効率化や合理化
も大事ですけど、根性とか泥臭さもやっ
ぱり必要で、一見無駄に見えること
を重ねた先に得られるものがあるのです。
──小さな積み重ねが大事だと。
そうした努力の結果、2006年、33歳の
時に全国で女性初の警視庁キャップを
拝命し、十名のチームを任せて
いただきました。
ただ、これには仲間の力も大きくて、互
いに励まし支え合ってきたことで、一人
では挫けてしまいそうな困難も乗り
越えられたと思っています。
ですので私も仲間同士のコミュニケー
ションやチームワークは特に
重視しています。
2009年からは社会部のデスクを拝命し、
事件だけではなく教育や医療など、社
会問題全体に幅広くアンテナを立
てるようになりました。
そうしたら、その一年後に部長から「来
月から朝のニュース番組のキャスター
をやってもらうことになりました」
と急にメールが来たんです。
会社側からすると、現場感がより伝えら
れて、一人二役にもなるので人員的
にも楽なんですね。
でも私はアナウンサーなんてやった
ことがなかったので……
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『致知』 2018年1月号
連載「第一線で活躍する女性」P96
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝