広島県教育委員会教育長の平川理恵さん。
平川さんの経歴はとてもユニークです。
大学を出てリクルートに就職。
情報誌でトップ営業社員になった後、
留学生斡旋の会社を立ち上げます。
さらに横浜市の民間人校長公募により、
女性で初めて公立学校の民間人校長に。
学校に活力もたらした手腕に着目した
広島県の湯﨑英彦知事の依頼により、2018年、
広島県教育委員会教育長に就任されました。
平川さんは、その卓越した手腕をいかんなく
発揮し、教育改革でいま大きな成果を挙げ
られています。
本日は、その記事の一部を紹介。
対談のお相手は平川さんが師と仰ぐ
東洋思想研究家の田口佳史さんです。
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(平川)
私はいつも仕事をする時、
「誰のために何を」と自分に問うのです。
県の教育長という立場は、周囲にいろいろな
ステークホルダー(利害関係者)がいて、
多くの方からご意見をいただくわけですけれど、
最終的には「子供たちの未来のために、これを
やるか、やらないか」というのが私の判断基準。
子供たちのためと思えば、多少の抵抗は覚悟で、
言うべきことは必ず言うことにしています。
(田口)
平川さんが取り組んでいる教育改革を見ていると、
子供たちの視点で10年先、20年先の教育はこう
あるべきではないかということを広島県だけで
なく、国全体の視野で考えられている。
そうではありませんか。
(平川)
そのことはいつも意識していますね。明治以降、
江戸の教育から西洋式の教育に切り替わって
150年が経過するわけですが、私はいままた
元に戻ろうとしているように思うのです。
現在の学校教育は1年生、2年生、3年生と学齢
で分けています。
しかし、そもそも社会とは異年齢の人たちが集
まるものなので、私たちはいま広島県福山市に
ある常石小学校で、かつての寺子屋のような
異学年の小学校を試験的につくろうとして
いるのです。
これはイエナプラン教育と呼ばれ、少し具体的
に説明すると、クラス編成は1~3年生、
4~6年生という異年齢学級です。教師がいて
指導に当たりますが、上の子が下の子を教え、
下の子が上の子の考え方はすごいと思って
頑張るところにより力点を置いています。
与えられたものをこなしていくだけでは、
どうしてもモチベーションが下がっていきます
が、基本的に異学年同士学び合うというスタイル
なので児童同士の関わりは強くなり、
主体性や学習意欲も高まるのです。
数と言葉(算数、国語)は各人の力に応じて
進めていく。環境問題など子供たちの内側から
湧いてくる課題は教師も生徒も皆で学習を重ね
ながら納得する解を求めていく。
その点でも、海外流の教育というより、
むしろ寺子屋に似ているかもしれません。
(田口)
これからの時代、宗教や価値観の違いを超えて
国際社会で共に生きていく上でも、
必要な一つの教育のあり方でしょうね。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!