コサックの生い立ち。
15世紀頃からウクライナやロシアの南部の
ステップ地帯に住みついた者たちが、出自
を問わない自治的な武装集団を作り上げた。
「コサック」とはその集団や構成員のことである。
両帝国支配下のウクライナ。
18世紀末のポーランドの分割およびトルコの黒海
北岸からの撤退によって、それ以降第一次世界
大戦までの約120年の間、ウクライナはその
土地の約8割がロシア帝国に、残りの約2割
がオーストラリア帝国に支配されることとなる。
1853年から56年にクリミア戦争が起きた。
この戦争はクリミアが主戦場となったので
クリミア戦争といわれている。
これは東欧や地中海に進出しようとしたロシアを
英仏がトルコを助ける形で、食い止めようとした
典型的かつ大規模な帝国主義戦争であった。
現在アメリカでは150万人、カナダでは100万人
のウクライナ系の住民がいるといわれている。
ウクライナの独立後、アメリカは何かとウクラ
イナの肩を持つ姿勢をとっているが、その理由
のひとつとしてウクライナ系アメリカ人の
存在があるといわれている。
ウクライナの将来性。
ウクライナの重要性と将来性についてあらためて
2点を指摘して本書のまとめとしたい。
第一には、大国になりうる潜在力である。
ウクライナは面積ではヨーロッパでロシアに
次ぐ第二位であり、人口は5000万人で
フランスに匹敵する。
石油・天然ガス資源こそ十分ではないが、鉄鉱石
はヨーロッパ最大規模の産地である。
農業については、世界の黒土地帯の30%を占める。
いずれは「ヨーロッパの穀倉」の
地位を取り戻すであろう。
21世紀に世界で食糧危機が起きるとすれば、
それを救う可能性のある国といわれる。
耕地面積は日本の全面積に匹敵し、農業国
フランスの耕地面積の2倍もある。
工業、科学技術面では、かつてソ連最大の
工業地帯であり、それを支える科学者・
技術者の水準は高く、層も厚い。
国民の教育水準は高く、国民性は堅実で忍耐強い。
第二は、地政学的な重要性である。
これまで見てきたようにヨーロッパでウクライナ
ほど幾多の民族が通ったところはない。
ウクライナは西欧世界とロシア、
アジアを結ぶ通路であった。
それゆえにこそウクライナは世界の地図を塗り
替えた大北方戦争、ナポレオン戦争、クリミア
戦争、二次にわたる世界大戦の戦場となり、
多くの勢力がウクライナを獲得しようとした。
ウクライナがどうなるかによって東西のバラ
ンス・オブ・パワーが変わるのである。
フランスの作家ブノワ・メシャンは、ウクラ
イナはソ連(当時)にとっても、ヨーロッパ
にとっても「決定的に重要な地域の
ナンバーワン」といっている。
黒川祐次
『物語・ウクライナの歴史、
ヨーロッパ最後の大国』
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!