辺境の島国イギリスを、世界帝国へと押し
上げたのは、七人の悪党たちだった。
六人の妻を娶り、うち二人を処刑したヘンリ
八世。王殺しの独裁者クロムウェル。外国人
王のウィリアム三世とジョージ三世。砲艦
外交のパーマストン。愛人・金銭スキャ
ンダルにまみれたロイド=ジョージ。
そして、最後の帝国主義者チャーチル…。
イギリスでは、歴史を動かすのはあくまでも
人間とその決断であるという史観が
比較的強く残っている。
そして、その人間に対するあくなき探究心が
生みだした到達点が評伝(伝記)なのである。
イギリスを旅されたかたは、かならずといっ
ていいほど各地の大型書店で驚嘆さ
れていることだろう。
どこへ行っても「評伝」のコーナーが設けられ
ており、しかもワンフロアが丸々それに充て
られているケースも稀ではないからだ。
七人の「悪党」たち 本書は、このような
イギリスの評伝(伝記)文化に敬意を表
しながら、世界に冠たる大英帝国を
築いてきた七人の人物たちの姿
に迫るものである。
本書で採り上げる「悪党」たちも、もとは
このようなアウトサイダーだった。
もっとも、西洋史やイギリス史にもともと
興味のある読者からすれば、「なぜ彼らが
『悪党』なのか?」と首をかしげる場合
もあるような、一見すれば体制側に
ずっと位置し続けてきたかに思われる七人である。
ところが、後ほど詳しく説明していくように、
彼らはみな一様にアウトサイダーであり、
よそ者たちだったのだ。
ウィンストン・チャーチルは、言わずと
知れた第二次世界大戦の英雄である。
ロイドジョージとは異なり、ジェントルマン
階級の中核から現れた彼もしかし、若き日
に保守党から自由党に寝返って「人民
予算」で貴族階級の既得権を奪う側
に回り、保守党に出戻った後は
要職に就けずにそのまま政界
から消えてしまう可能性もあった。
そのチャーチルを稀代の英雄にまで昇りつめ
させたのも、また世界大戦という未曾有
の危機だったのである。
君塚直隆『悪党たちの大英帝国』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!