ときに権力に接近し、ときに地下に潜って
勢力を広げ、さらに社会主義革命や市場
経済化やIT化の大波に襲われても
しぶとく生き残る。
秘密結社の異常なまでの生命力は、中国人の
世界において、それだけ他者との助け合い
や自分の魂の救済が強く求められて
いることを想像させる。
秘密結社を使った「中国の壊し方」。なぜ
中国共産党は他の秘密結社とは違い、
中華の大地を制覇できたのか。
それは彼らが「西洋から伝わった思想」を
掲げつつ、「海外勢力と結託」して「政権
の転覆を画策」し、さらに「国家統一の
破壊」を進めて「武装反乱」に踏み
切るという、たいへん危ない
行為をフルセットで徹底的
に実践したからである。
結果、天下は共産党のものとなった。
中国で天下を取る方法は、実際に
取った者にしかわからない。
すなわち、現代中国の秘密結社として最大最強、
かつ最も成功した存在である中国共産党は、
何をどうやれば自国の体制を崩壊に
追い込めるかという「中国の
壊し方」について、過去
の先輩たちの豊富な実例と、
自身の実践を通じて体験的に理解している。
すなわち、活動内容やメンバーを秘匿した
秘密結社的な集団が、舶来のイデオロギー
を用いて理論武装し、中国に介入する
意思を持つ海外勢力の支援を受けて、
ひそかに庶民の人心を収らんしていく。
こうした組織が大衆を動員して武装蜂起し、
国家を分裂させて群雄割拠のなかで台頭
すれば、政権がひっくり返る。
これぞ中国の秘密結社が、現体制を破壊して
天下を取るための基本公式である
もっとも、現在すでに政権を握る既得権益者
となった中国共産党としては、社会に往年の
自分たちと同じような連中が新たに出現し、
「中国の壊し方」のセオリーを実行して
天下を狙うことは、絶対に阻止しなくてはならない。
安田峰俊『現代中国の秘密結社。マフィア、
政党、カルトの興亡史』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!