ますます緊張を高める米中関係。「習近平は、
完全に全方位敵対路線に入った」と著者は語
る。「最後の皇帝」習近平は何を目指すのか?
軍事レベルにおいて、日本は2国間での演習
などには慣れている。それを多国間
に拡大するのである。
海上自衛隊の艦艇は、イギリス、フランス、
オランダだけでなく、ドイツの港にも寄港
すべきだ。欧州近辺への艦船の派遣や、
欧州における軍事演習への参加など、
日本が「パートナー」としての
プレゼンスを示すことを、
欧州諸国は求めるようになるだろう。
これが「海洋国家の国際ネットワーク」が
中国を包囲しつつある現代において、日本
が期待されているポジションなのである。
本書の狙いは、「戦略のロジック」で中国を、
そしてその支配者である習近平を
解き明かすことにある。
中国はきわめて巨大でアグレッシブな国家で
あり、習近平はそこで独裁的な権力を行使
する「皇帝」だ。そのパワーは世界を
席捲しつつあるようにみえる。
中華人民共和国の歴史のなかでも死ぬまで権力
の座にいつづけたのは毛沢東だけである。
南シナ海、東シナ海をはじめ、日本、フィリ
ピン、インドネシア、マレーシア、ベトナム、
インドと領土をめぐるいさかいを繰り返し、
大規模な戦略構想である「一帯一路」
ではパキスタンやスリランカの港
の操業権を押さえ、アフリカの
国々を負債漬けにするなど、国外に向か
っても、その影響力を拡大しようとしている。
つまり巨大な中国はますますその強さを増し
ている、と多くの人は感じているだろう。
しかし、「戦略のロジック」でみると、中国は
ますます不安定さを増し、国際的にはむしろ
弱くなっている、と分析できるのだ。
私の考えでは、習近平は「強大になるほど、
戦略的に弱くなる」という戦略の逆説(ス
トラテジック・パラドックス)に
はまってしまったのである。
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習近平』(奥山真司さん訳)
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!