20年以上に及ぶ認知症の母の壮絶な介護体験
から、人々の心にあたたかい灯をともす詩を
生み出してきた詩人・藤川幸之助さん。
本日はその作品の中から
「扉」という詩をご紹介させていただきます。
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●「扉」
認知症の母を
老人ホームに入れた。
認知症の老人たちの中で
静かに座って私を見つめる母が
涙の向こう側にぼんやり見えた。
私が帰ろうとすると
何も分かるはずもない母が
私の手をぎゅっとつかんだ。
そしてどこまでもどこまでも
私の後をついてきた。
私がホームから帰ってしまうと
私が出ていった重い扉の前に
母はぴったりとくっついて
ずっとその扉を見つめているんだと聞いた。
それでも
母を老人ホームに入れたまま
私は帰る。
母にとっては重い重い扉を
私はひょいと開けて
また今日も帰る。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!