1 名僧対談の読みどころ
2 今日の「一日一言」/寛容
─────────────────
1 名僧対談の読みどころ
─────────────────
横田 南嶺(臨済宗円覚寺派管長)
×
阿 純章(天台宗圓融寺住職)
─────────────────
子供たちの遊ぶ姿に仏教の教えを
みたと語る阿住職。
その真意はいったいどこに
あるのでしょうか?
─────
【阿/おか】
私も同じような気づきを、幼稚園に勤め
るようになって得ることができました。
子供たちが真剣に遊んでいる姿を見て
いて、臨済義玄(ぎげん)禅師の
「随処(ずいしょ)に主と
作(な)れば、立つ処
皆真(しん)なり」
という言葉は、まさにこれだと。
子供の生き方が禅の教えとピタッと合致
していることを実感して、あぁこれが
本当に仏教の伝えたいことだなと
実感したんです。
子供たちはどんな所にいても、
いま、ここの主人公です。
大人は立身出世とか、お金儲けとか、
いろんな目的を持ちますが、子供の
姿を見ていたら、人生の目的なん
か別に持たないで、ただ元気
よく遊んで意欲を発揮している。
仏様の世界に一番近いのは子供であって、
彼らのようにいま、ここにただ意欲を
発揮することが、本来の人間の
目的なのではないのかと感じたんです。
【横田】
おっしゃるとおりです。
【阿】
そこから改めて天台宗のお経などを勉強
し直して、気づいたことがありました。
天台宗には「円宗」とか「円教」という
別称もあって、仏様の世界を円で表すん
ですが、私たちはその円の世界を
既に歩いているんだと。
いま立っている場所は目的に達するまで
の道程で、このままではダメだと思い
がちなんですが、既に円の世界を
歩いているのであれば、誰が
後でも先でもなく、皆平等
に仏の上を歩いている
のではないか。
それが「随処作主、立処皆真」という
言葉の真意でもあるのではないかと。
そう思ったら、それまで抱いていたいろん
な不安感がスッとなくなって、お寺を継い
だり、お坊さんとしてやっていくこと
に前向きな気持ちになれたんです。
【横田】
いいお話ですね。そういう姿勢で
いまを楽しんで生きること。
この転換がとても大事だと思います。
苦しみを耐え忍んだ先に花を咲か
せるというのではなくてね。
─────
明るく生きることを指針にしてこられた
お二人のお話は、仏教の真髄に触れ
ながらも、どこか爽やかな風
のように感じられます。
『致知』2018年7月号
「いまをどう生きるのか」P22
────────────────
2 今日の「一日一言」/寛容
────────────────
寛容もまた誠実と縁のない
ものではありません。
真に自らに忠実になろうとする者は、
その困難さが分かるだけに、他人の
過ちや失敗に対しても、深い理解
と愛情とを持つことが出来、
それだけ深い同情を持っ
てこれを許すことが出来るのであります。
『平澤興 一日一言』
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝