一般的にはあまり、その存在をしられていない
時計遺伝子。
その研究の第一線に立つ石田直理雄さんに、
最先端の研究成果をお話しいただきました。
時計遺伝子研究の可能性の広さを
感じさせるお話です。
────────[今日の注目の人]───
☆ 時計遺伝子が教えてくれること ☆
石田 直理雄(時計遺伝子研究の第一人者)
×
村上 和雄(遺伝子研究の第一人者)
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【石田】
いまの応用編として、大阪大学医学部第二外科
と取り組んだのが点滴でした。
例えば十二指腸潰瘍や胃がんで手術をすると、
術後、栄養が体に吸収されるのを助ける
ために点滴をするでしょう。
普通、点滴は24時間やり続けますが、非常に
経過が悪いことが多いという。
医者が言うには胆嚢や肝臓に負担がかかると。
それを聞いた時に、僕は点滴によって体内時計が
狂わされてしまうのではないかと思ってすぐに
調べてみたところ、大当たりでした。
マウスで確認した後、何をやったかというと、
大阪大学の外科に入院していた患者さんを
二つに分けて、一方は24時間の点滴、
もう一方は朝の7時から19時まで
という人間の活動期だけに
点滴をしてみました。
すると後者の患者さんたちの術後の経過が
とてもよく、肝臓や胆嚢の憎悪を示す
数値も正常に近づいたんですよ。
ですから本当に単純な作業なんですけど、
薬にしても点滴にしても、それをいつ
投与するかによって人間の体内時計
を狂わせもするし、よくもする
ことを知っていただきたいですね。
【村上】
薬だけじゃなくて、食べ物もそうですね。
【石田】
おっしゃるとおりで、どういうタイミングで
食べるかは大事なことです。
ところがいまは……
※本誌の対談を通じて、時計遺伝子の声に耳を
傾けてみませんか?続きは本誌で。
『致知』2016年11月号
連載「生命のメッセージ」P106
今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!