人類の歴史は病との闘いだ。ペストやコレラ
の被害を教訓として、天然痘を根絶し、ポリ
オを抑え込めたのは、20世紀の医療の進歩
と国際協力による。しかしマラリアはな
お蔓延し、エイズ、エボラ出血熱、新
型コロナウイルスなど、新たな感染
症が次々と襲いかかる。
他方、現代社会では、喫煙や糖分のとりすぎ
による生活習慣病も課題だ。医療をめぐる
格差も深刻である。国際社会の苦闘を
たどり、いかに病と闘うべきかを論じる。
世界的に見れば、未知の感染症の威力に
人類が圧倒され、あたふたする姿は
今回が初めてではない。
2002.2003年にアジアを震撼させたサーズ(重症
急性呼吸器症候群)や、2009年に感染が広がった
新型インフルエンザ、2014年に西アフリカで
大流行したエボラ出血熱に対しても、恐怖
や不安による、様々な混乱が見られてきた。
感染症と人類社会の関わりは長い。
紀元前から現在に至るまで様々な感染症が
人類社会に打撃を与えてきた。感染症は
人類を最も苦しめてきた「病」といってよい。
今でこそ、国境を越える対応枠組みが存在
するが、古くは、それぞれの国で対応
がなされていた。
グローバル化が進む今日の国際社会では、
これからも未知の感染症や新たな健康
課題が次々と発生し、人類と病の
闘いは続いていくだろう。
このような視点に立って、国際保健にまつわる
様々な問題を洗い出し、人間の健康を確保する
ために必要なことは何かを検討していきたい。
人類と病との闘いは、保健医療という専門的
な領域内のみで動いているものではなく、大
国と中小国のパワーの非対称性、先進国の
製薬会社の動向、世界経済の動向など、
国際社会の様々な要素によって、
常に挑戦を受けている。
本書はこうした問題関心を出発点として、
人類と病との闘いを、個々のテーマを
通して、読み解いていく試みである。
詫摩佳代『人類と病。国際政治から
見る感染症と健康格差』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!