幸運の女神はどのような人に微笑むのか。
この本に収められた運にまつわる5篇の話を
通してそのヒントを学ぶことができます。
本書に収録されているコラムの中より、
一部をご紹介いたします。
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人間の花
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木が弱り衰えていくのには
五つの段階がある、
と安岡正篤師が言っている。
「木の五衰」である。
その第一は「懐の蒸れ」。
枝葉が茂り過ぎると
日当たりも風通しも悪くなり、
木の根幹が弱ってくる。
この状態が続くと、根が上がってくる。
これを「裾上がり」という。
そうなると、木は頭から枯れてくる。
「末枯れ」である。
「末」は梢のことである。
梢が枯れてくると「末止まり」となる。
成長が止まるのである。
この頃になると、いろいろな害虫がつき始める。
「虫喰い」である。
この木の五衰を避けるには、
枝葉が茂ってきた段階で刈り取ること、
即ち省くことだと安岡師は説き、
人間もまた同じだという。
人間も貪欲、多欲になって修養しない、
つまり省かなくなると、風通しが悪くなり、
真理や教えが耳に入らなくなり、
善語善言を学ぼうとしなくなる。
これは「裾上がり」で、
そうなると「末枯れ」が起こり、
「末止まり」となる。
人間が軽薄、オッチョコチョイになり、
進歩が止まってしまう。
揚げ句はつまらない人や事に関わり、
取り憑かれて没落する。
「虫喰い」である。
これを「人間の五衰」というと
安岡師は人間の通弊を突いているが、
こういう人に花が咲かないのは自明の理であろう。
では、人間の花はどういう人に咲くのだろうか。
あるいは、人間の花を咲かせるために
大事なことは何だろうか。
安岡師の言葉に見るとおり、
雑念、妄念を心に茂らせている人に花は咲かない。
心の雑草を取り去り、よく手入れし、
調和させている人、心の力をよく知る人のみが、
人間の花を咲かせるのだろう。
『易経』にこういう言葉がある。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!