人間は基本的に運動することで身体の機能が正常に整い作用する 第 291 号

 高齢者にも筋トレを推奨し、健康長寿の新たな

扉を開いた。

 筑波大学大学院教授の久野譜也さん。

 様々なデータや世界の動向にも通じた

久野さんのお話に注目です!

────────[今日の注目の人]───

 ★ 健康長寿になる3つの秘訣 ★

 久野 譜也(筑波大学大学院教授)

───────────────────

【村上】

 歩くということがいかに大事かと

いうことですね。

【久野】

 歩くのにも当然筋肉を使いますからね。

 ただ筋肉というのは、30代から加齢に

よって萎縮が始まります。

 そして40代以降は何も手を打たずにいると

毎年1パーセントずつ減っていくんですね。

 昔は平均寿命が短かったので、大した問題には

ならなかったのですが、高齢化社会になると

これが切実な問題になってきました。

 やはり生き甲斐を持った人生を全うするためには、

自分の意思で動けることが必要条件の一つであって、

それを担保するのが筋肉なんですよ。

 おまけに筋肉というのは非常によい臓器で

可塑性(かそせい)がある。

【村上】

 鍛えれば幾つになっても増えるわけですね。

【久野】

 そうなんです。だから幾つになっても遅くは

ないんですよ。

 2009年にWHO(世界保健機関)が「死亡原因

ベスト20」というのを発表していて、

 1位は高血圧、2位はたばこで3位が糖尿病、

何と4位が運動不足なんですよ。

 ちなみに5位は肥満です。

 これは認知症でも同じことが言えて、運動不足だと

認知症になりやすいというデータが最近出ました。

 やはり人間というのは、基本的に動くという前提で

いろいろな機能が備わっているのに、科学技術の発達と

ともに動かなくなったアンチテーゼが、いまこうして

生活習慣病や認知症という形になって表れていると

考えられます。

【村上】

 体を動かすことが大事であることは誰もが知って

いても、それを義務感だけではやれないと

思うんですよ。

 そこに何か楽しみというか生き甲斐がないと。

【久野】

 何もアスリートみたいな運動をする必要は

なくて、先生のおっしゃるように生き甲斐とか

人との関わり、そういったものがうまく絡み合って

健康寿命というのは伸びていきます。

【村上】

 80歳になって少々体が不自由なんですけど、

僕にとっての生き甲斐は、人に喜んでもらう

とか、希望を与えることかな。

【久野】

 健康長寿の秘訣には三つのキーワードがあって、

それが運動と食事、そして社会的役割です。

 つまり村上先生のように社会的役割を持ち

続けている人ほど、健康度が高いという

データも出ているんですよ。

 いま私は社会の仕組みとして

健康長寿が実現できるようにと……

※教授として、また社長として日本を健康長寿

の国にしようと努力を続ける久野さん。

 「筋トレ」普及から街づくり構想まで、

そのスケールの大きい取り組みの全容は

本誌でたっぷりと語っていただきました。

 『致知』2016年6月号  

     連載「生命のメッセージ」P106

   今回も最後までお読みくださり、ありがとう

              ございました。 感謝!

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