ファーウェイという企業をご存知でしょ
うか。初めて明かされる紅い巨人の素顔、
中国語社名は「華為技術有限公司」。
世界170カ国に展開、世界人口の3分の1
にサービスを提供し、米国の経済誌に
「世界でもっとも革新的な企業」
として、フェイスブック、ア
マゾン、アップル、グー
グルに続く第5位に
選ばれるようなグローバルIT企業です。
1987年。任正非(レン・ツェンフェイ)
という中年の男は、当時の中国社会の
潮流に乗り遅れていた。この年、
彼は数え年で44歳だった。
運命の奥深さを感じさせるこの年に、
任(レン)は商人としての第一歩
を踏み出した。この時、彼は
軍を退役して既に数年が
過ぎていたが、何を
やっても思うようにいかず
悶々とした日々を送っていた。
だが、一念発起してファーウェイ(華為
技術)というちっぽけな民営企業を創業
したその日から、任とファーウェイ
は切っても切れない運命共同体
となったのである。
うだつの上がらない退役軍人だった任は、
まさにそのような時代の潮目に、自ら
望んでか望まずか商人となる道を
選んだ。こうして、深センの
とあるビルの一室でファー
ウェイが産声を上げたのである。
従業員は5から6人、起業資金はわずか
2万元ほどだった。経営者の任は通信
機器の製造に関してはずぶの素人
で、当初は既製品の代理販売
を生業にした。有り体に
言って怪しげな「プローカー」
である。にもかかわらず、任は
最初から「20年後に世界レベルの通信
機器メーカーになる」という壮大
なビジョンを描いていた。
ファーウェイの成功は、任の哲学の成功
である。そう述べても過言ではない。
任は次のように語っている。
「我々には何のバックグラウンドもなく、
何の資源もない。自分というもの以外、
何ひとつ持ち合わせていない。
従って、あらゆる進歩は
他の誰でもない、す
べてが自分次第なのだ」。
任には娯楽やスポーツを含めて趣味ら
しい趣味がない。読書と思索が唯二つ
の例外だ。友人もほとんどいない。
孤独に耐え、我が道を歩む。
交流せず、徒党も組まない。これは任の
性格である以上に、一種の社会的認知
や役割の自覚によるものだ。
任はファーウェイの高級幹部に対して
「富可敵国」の故事をしばしば語
り、次のように忠告してきた。
「中国では国から目の敵にされる
ほど富を築いてはならない。
ビジネスの夢を叶えたいなら、社会と
の係わりを自制し、目立たない
ようにすることだ」。
中国には『肥えた豚は年の瀬に殺さ
れやすい』という格言がある。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!