人間は欲望が満たされると自惚れ.身勝手になってしまうものだ = 3-3 = 第1,234号

 1990年代末に始まったファーウェイの

国際化は、こうした自己犠牲を厭わぬ

社員たちの苦闘と貴い犠牲によって

贖われた。2006年の社内誌に、

ある社員はペンネームで

次のように書いている。

 

 「硝煙が消えないイラクから伝染病が

蔓延するアフリカ奥地まで、ファー

ウェイ社員の姿を見ない土地

はない。私たちはここ

まで一歩ずつ歩んできた。

そしてこれからも、果てしなく続く

長征の道を断固として歩み続けるのだ」。

 

 完璧さを求めない。

 

 企業家とは生まれながらの冒険家である。

 

 彼らは自分の直感と冷徹な計算を秤に

かけ、危険な賭けを行う人々だ。

 

 任の言葉を借りれば、「進むべき方向

は灰色の混沌の中から生まれる」。

 

 異論を認め蓄えに変える。

 

 花は五分咲き、酒はほろ酔い。

 

 何事も完全に満たしてはならない。

 

 限界を超えれば溢れてしまい、そこ

から邪念が生まれる。人間は欲望

が満たされると自惚れ、身勝

手になってしまうものだ。

 

 常に他人を責め立てたり、拒否したり、

制止したりしてはならない。ひとこと

で言えば「花は五分咲き、酒は

ほろ酔い」がほどよいのだ。

 

 企業経営も同じではないだろうか。任は

こう語っている。「純粋な黒や白は哲学

的仮説に過ぎず、グレーこそが常態

なのだ。我々は決して極端に走っ

てはならず、系統的な思考を

持たなければならない」。

 

 「会社が将来の幹部人材に求めている

のは、業務に関する経験や専門知識

が豊富なだけでなく、業務以外

でも広く深い教養を身につ

けていることだ。広く

深い教養とは、有

り体に言えば『ごった煮』、

つまり何でも知っていることである」。

 

 君たちは考えたことがあるだろうか。

ある日、会社の売上高が落ち込み、

利益がなくなり、破産の淵に

追い込まれたら、我々は

どうすればよいのかと─。

 

 創業以来、私は毎日失敗についてばかり

考えてきた。成功は見ても見なかった

ことにし、栄誉や誇りも感じず、

むしろ危機感を抱いてきた。

 

 だからこそ、ファーウェイは10年間も

生存できたのかもしれない。そして、

どうすれば生き残れるかを皆で

一緒に考えれば、もう少し

長く生き延びることができるかもしれない。

 

 失敗という“その日”は、いつか必ずやっ

てくる。私たちはそれを迎える心の

準備をしなければならない。

 

 これは私の揺るぎなき見方であり、

歴史の必定でもあるのだ。

 

 “その日”が来る前に、我々は危機への

対応法や解決策を研究し、備えなけ

ればならない。できなければ

生き延びるなんて不可能なのだ。

 

 

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今回も最後までお読みくださり、

             ありがとうございました。感謝!

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