人間性に対しての感受性を豊かにしておくことが重要なのだ = 2-2 = 第1,103号

 アーネスト・サトウは、外交を

次のように定義している。

 「外交とは、独立国家の政府間の公式

関係における知性と機転の応用」であ

り、「軍事力のみにより国際関係が

支配されることを防ぐための、文

明により考案された最善の方法」である。

 19世紀末に長期にわたり外相を務めた

ソールズベリ卿は、同様の趣旨に

ついて次のように論じる。

 「外交官の成功には、ドラマチック

なことは何もないのだ」。

 それは「自国においての思慮深い判断力、

他国においての適切な礼儀正しさ」

た「あるときには賢明なる妥協、そし

てあるときには先見の明のある粘り

強さ」であって、「油断なき機転、

不動の平静さ、さらには愚行

にも挑発にも不手際にも、

動じることのない忍耐」なのである。

 ソールズベリの言葉の中に、イギリス

の求める理想の外交官像が凝縮され

ているように思える。

 外交には魔法などはない。

 あるのは人間の良識であり、知性であり、

判断力であり、そして礼儀正しさである。

 それは人間の社会の反映でもある。

 政策決定に関与している政治家や官僚は、

かつてないほど多忙になったゆえか、

研究者が記す文章を読まなく

なりつつあるように思う。

 イギリスの外交官たちのように、歴史書

や文芸書を読むことを愛して、自らが

そのような歴史書や文芸書を執筆

するという、時間的および精神

的な余裕など思いもよら

ないことかもしれない。

 外交に人間的な魅力は不可欠である。

 それは、人間と人間の交際であるが

ゆえに、人間の品格、知性、教養が

存分に試される機会でもあるのだ。

 ハロルド・ニコルソンが「旧外交」の

伝統を擁護し、外交理論を発展させる

上で訴えたかったことは、そのよ

うな失われた時代の、失われた

「外交官」の理想像であったのかもしれない。

 イギリス人の外交官が国際舞台で見事な

交渉能力を発揮する背景として、パブ

リック・スクールでの独特な教育

と訓練があったのである。

 そこでは柔軟性、修辞能力、ユーモア、

機転などが磨かれる。

 それは間違いなく、イギリス

外交の資産であった。

 人間が外交を行うということが当然で

あるとすれば、外交を行うためには

人間を理解せねばならない。

 ヒューマニティの学問が、外交官

になるために必要だろうか。

 英国外交官が、学問に深い造詣を

持ち、そして自らがざまざま

な著書を書いている。

 本を書くことが重要なのではない。

 そのために柔軟な思考と発想を維持して、

常に視野を広げ、人間性に対しての

感受性を豊かにしておくことが重要なのだ。

 細谷雄一『大英帝国の外交官』

  の詳細、Amazon購入はこちら↓

   https://amzn.to/2A4wXql

今回も最後までお読みくださり、

    ありがとうございました。感謝

スポンサードリンク

♥こちら噂の話題満載情報♥

ぜひ、いいね!を「ぽちっ」とお願いします

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください