「新入社員でも、意識は社長になれ!」
松下電器産業(現・パナソニック)の
創業者・松下幸之助の訓話は
刺激に満ちていたといいます。
長年、松下氏から直接薫陶を受け、
松下電器と松下政経塾で活躍した
上甲晃氏の土台となった経営の神様の教えとは?
致知出版社の人間力メルマガ 2019.4.29
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上甲晃(志ネットワーク代表)
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私が人生で最も影響を受けたのは、
松下幸之助に他ならない。
大学で様々な専門の知識を勉強したが、
本当の生き方を教えられたのは
会社に入ってからであり、もっと言えば、
松下幸之助と出逢ってからである。
とりわけ心に深く刻まれているのは
新人研修での訓話だ。
正確な言い回しは忘れてしまったが、
「君らな、僕がいまから言う
二つのことを守り通したら、
松下電器の重役になれる」
といったような前置きをした上でこう言った。
「一つは、いい会社に入ったと
思い続けられるかどうかや」
誰でも入社したばかりの時は
いい会社に入ったと思う。
しかし、嫌な上司がいたり、
意に沿わない仕事をさせられたり、
様々な不遇に遭う。
それでもなお、いい会社を選んだと
心から思えるかどうかはすごく大事なことだ、と。
「人間、9割は自分ではどうにもならない
運命のもとに生きている。
その運命を呪ってはいけない。
喜んで受け入れる。
すると、運がよくなる」
とも教えられた。
世に数百万社あるといわれる中で、
この会社に入ったというのは、
縁や運としか言いようがない。
その自分の運命を呪わず、
前向きに喜んで受け止めていくと人生は好転する。
これは会社のみならず、
生まれた国や自分の容姿など、
あらゆる境遇に当てはまると学んだ。
「もう一つは、社会人になって
お金が一番大事と思ったらあかんぞ。
もちろんお金も大事やけどな、
お金は失くしても取り戻せるんや。
しかし、人生にはこれを失うと取り戻すのに
大変苦労するものがある。
それは信用や。信用を大事にせなあかん」
この二つの言葉に強烈な衝撃を受けた。
同時に、私の社会人生活の基本、
考え方の根っこになった。
不思議なもので、後年同期にこの話をしたところ、
皆覚えていないと言う。
当時の私は松下電器に入社したからには、
重役になろうと思って真剣に聞いていたのだろう。
そこだけ鮮明に記憶していた。
どういう意識で過ごしているか、
すべては受け手の姿勢次第なのだとつくづく感じる。
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『致知』2018年8月号
連載「20代をどう生きるか」
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!