7歳の女の子から107歳のお年寄りまで、
世代を越えて全国に感動の輪が広がっている
『心に響く小さな5つの物語』。
「本を読む喜び、楽しさ、感動を
若い世代に伝えよう」
幼少期の感動を伴った読書体験は、
その後の人生を生きていくうえでも
必ず大きな糧となるはずです。
また、本を読んだ感想を文字に刻む、
という行為は、子供たちにとって、
何よりの財産ともなることでしょう。
本日は、一昨年の感想文コンクールで
金賞を受賞された塩塚まゆみさんの
作品をご紹介します。
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『心に響く小さな5つの物語』
第6回感想文コンクール金賞受賞作品
熊本県立熊本商業高等学校2年(当時)
塩塚まゆみさん
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あとがきを読み終えても、
私は本を閉じることができなかった。
表紙を開く前の眠気は散り、
私は二度、三度とその本を読み返した。
一冊の本に綴られた五つの物語は、
どれも私の心を揺さぶり、強くひきつけた。
第一話「夢を実現する」では、
今の自分を省て「恥」を感じた。
私は、将来の夢を見ることはしても、
全力で突き進むことはしていなかった。
そして、そんな自分を受け入れ、離し難く
思う自分もいる。
イチローのように努力し、成功した人物に
憧れても、「自分には……」と諦めている
ことが恥ずかしく、惨めに思った。
第二話「喜怒哀楽の人間学」で、
私は「思いやる心」の大切さを感じた。
札付きとなった少年に、
亡き母の胸中を伝えた家政婦の思いやり。
新たな母との仲を案じ、
少年に憎まれることを選んだ実母の思いやり。
母のその思いやりが、
少年にとってどんなものだったかはわからない。
しかし、少年の心を立て直したのは、
母親の確かな愛だ。私は第三話を
読む前に、涙が溢れて止まらなかった。
目許を漏らしたまま読んだ
第三話「人の心に光を灯す」。私は
この話を読んで、祖母の口癖を思い出した。
祖父は言霊を信じ、事あるごとに
「言葉には力が宿るんだよ」
と言っていた。
事実、祖母の言葉には不思議な力があった。
悲しい時、辛い時、祖母と話すと元気になれた。
それを見て、祖母はやさしく笑い、
その笑顔が更に私を元気付けた。
第三話を読み、祖母と過ごした時間を思い出し、
心がぽかぽかと温かくなった。
第四話「人生のテーマ」で、
私は暫くあるページから目を離せなかった。
十五歳の少年の詩だ。私はその詩を読み、
胸が締め付けられたように苦しくなった。
やっと止まった涙が一粒、また一粒と零れた。
少年の十五年間生きて書いた結晶は、
こんなにも眩しく美しいのに、私はどうだ。
大きな心配もなくのうのうと過ごす日々。
もし、今の私が詩を書いても、
その輝きはきっと鈍く、くすんでいる。
ついに最後の物語。
湿った指で「縁を生かす」のぺージをめくった。
そして、一気に最後まで飛んで、考えた。
私は今までどんな縁を結び、どう生かして
いただろう、と。考えたが、どうしても
答えが詰まってしまった。
私は本に、自分を見詰める機会や感動をいただ
いた。本当に、本を知るきっかけとなった
縁に感謝が尽きない。本を閉じた私は、
今後の人生はより真剣に生きて、輝きたいと
思った。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!