産婦人科に勤務していた彼女は、
出産の場に立ち会い、命の大切さを強く実感
したと話していたことを思い出しました。
「お母さんはもちろん、あの場にいる全員が
『どうか無事に生まれてきてほしい』
と願って、そうやってすべての人は生まれて
くるんだよ」
彼女の言葉が思い出され、
私はこんな想いに駆られたのです。
自分自身を輝かせるための人間学は、
これから命のバトンを受け継いでいく
私たちの世代こそ学ばなくてはいけないのでは
ないかということ。
そしてなによりも二度とない人生を生きている
この瞬間に、藤尾社長の説かれる人間学に
触れる機会を持ってほしい──と。
それから、社長が綴ってこられた
『致知』の文章を何度も読み返し、
大切な友人に贈るとしたら
どの話がいいだろうかと考えながら
五篇を選びました。
一度きりの人生にテーマがないというのは空し
いこと。
被害者意識で生きていると人生はひらけないこと。
苦しみや困難は自分の実力を養う最高の場で
あること。
生きるとは、ただ生き切るということ。
人生には二本の大事なレール「熱と誠」が
必要なこと……。
いずれも、「自由」「個性」「ありのまま」を
大切にするという風潮のもと、
教育を受け年齢を重ねた私たちにとって、
学校では教えてもらわなかった
人生で本当に大切なことなのではないかと
思います。
幸運にも人間学に出会い
人生を変えていただいた私にとって、
この教えを同世代の方に伝えることこそが、
自分の命を輝かせる使命だと感じ本書を企画
しました。
この本が若い人たちの心に火を灯し、
新たな一歩を踏み出すきっかけと
なってくれることを心から願っています。
*
この手紙にもある通り、
本書はK・Kさんの気づきと熱意から生まれた
ものです。
池の水面に石を投げると波紋が広がるように、
若い社員の投じた一石が、令和の時代を生きる
若い世代の皆さんの心に確たる波紋を描くこと
を祈念しています。
令和二年九月
致知出版社 代表取締役 藤尾 秀昭
致知出版社の人間力メルマガ
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!