大学生の時に難病「潰瘍性大腸炎」を発症し、
13年に及ぶ壮絶な闘病体験を送った
頭木弘樹さん。
入退院を繰り返す絶望の日々を救ってくれたのが
読書から学んだ心の持ち方だったといいます。
苦しみ、悲しみ、絶望にどう向き合えばいいのか。
実体験から語っていただきました。
★人生・仕事のヒントが満載!
月刊『致知』1月号「人生、一誠に帰す」
の詳細・ご購読はこちら
───────────────────
(――いま人生に苦しんでいる方に
特に伝えたい文豪の言葉、
作品から得た学びなどはありますか。)
(頭木)
それは、カフカの日記や手紙に出てくる次の
言葉ですね。
「将来に向かって歩くことは、ぼくにはできま
せん。将来に向かってつまずくこと、これは
できます。いちばんうまくできるのは、
倒れたままでいることです。」
「生きることは、たえずわき道にそれていく
ことだ。本当はどこに向かうはずだったのか、
振り返ってみることさえ許されない。」
(――含蓄のある深い言葉です。)
(頭木)
入院してしばらくは、病気の自分は
あくまで仮の姿であって、何とか起き上がら
なくてはいけないと焦ってばかりいました。
でもこのカフカの言葉に接して、
カルチャーショックを受けたというか、
「しばらく倒れたままでもいいじゃないか」と、
考え方を転換することができたんです。
そして本当に絶望している時に、「起き上がら
なきゃ」っていう考え方、要するに人間は
右肩上がりで成長し続けるもの、一直線に成長
しなければいけないものだという価値観で
いると、むしろどんどん辛くなっていって、
起き上がれなくなってしまうことに
気づいたんですね。
逆に倒れたままでいる期間も
人生にはあるんだという心境になれれば、
苦しさは減るものです。
★この後も、絶望体験を乗り越えた頭木さんに、
逆境・困難に処する読書の極意、心の持ち方を
語っていただきます。
本記事を掲載した
『致知』2021年12月号「死中活あり」
の詳細はこちら
致知出版社の人間力メルマガ
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!