男性は女性と異なり、礼儀をあらためて教わる
機会があまりない。
しかし、上司や取引先、部下とのつき合い、
そしてプライベートで大切な人との時間を過ごす
うえで、まず必要とされるのが礼儀作法である。
そもそも小笠原流礼法とは、室町時代、武士が
社会生活を円滑にするために作られ受け
継がれてきたものなのであるが、現代
ではあまりそのことは顧みられていない。
大事な場面で、自信のない思いで過ごしたり、
逆に身の丈以上に見せようと無理をするのではなく、
自分の立場をわきまえたうえで堂々と振る舞うために、
一度、礼法の歴史を振り返り、その「こころ」と
「かたち」を身につけてみてはいかがだろうか。
約七百年前の室町時代に確立し、「お止め流」と
されていた小笠原流礼法の古文書を、
本格的に紹介する初の試み。
真の礼法とは、「こころ」と「かたち」から
成り立つ。
「こころ」とは、相手を大切に思うこころである。
「かたち」とは、そのこころを行動によって表す
ことである。
誰からも尊敬されるほど、控えめで周囲に対する
こころ遣いが感じられるものである。
食に関して人一倍興味がある私にとって、連日、
仕事上での会食が入っていることは、「苦」
でなく「嬉」である。
食事の美味しさだけでなく、誰と一緒に食べる
かが重要な要素であることを痛感している。
だからこそ、相手の人からは、一緒に食事をして
楽しいと思われる人になりたい。
法律家、政治家でありながら『美味礼讃』を残した
フランスの美食家、ブリア・サヴァランは、その
著書の中で「人を饗応するということは、その
人とともにいる間は始終、その人の幸福を
引き受けるということである」といっている。
宴席。知り合いの人以外とも会話をする。
パーティや結婚披露宴などにおいて席についた
あと、出席者が忘れてはならないのは、同じ
テーブルの人との会話を積極的に行う
ように努めることではないだろうか。
宴席でいつも感じるのだが、日本人が改めるべき点
は、知り合いの方とばかり会話をすることである。
改まって手紙を書く際、特に目上の方に宛てたもの
は、白の便箋と封筒を用いることが好ましい。
その場合、筆もしくは万年筆で書くこと。
ボールペンは、簡易的な印象があるので
使用しないほうがよい。
上下の人間関係に気を配ること。
武士にとって、それは生死に関わる問題
でもあった。
「無心」。
自分の欲にかたよらず、こころを磨く。
礼法を身につける目的とは何か。
それは究極のところ、こころを練磨する
ことともいえよう。
こころ遣いは見返りを期待しない気持ちから
発していることが前提なのである。
こうした信念や覚悟が備わった、内面に秘め
られた強い精神力が、人の優雅さや品格を
つくりあげるのだと思う。
雑念を払い、無の境地に達することは難しい。
だが、命の灯火が消えるまで、こころを練磨
する努力を怠ってはいけないと思う。
それが、現代にまで行き続ける武士の心得、
すなわち男の礼儀作法の基本である。
小笠原敬承斎
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。 感謝!