1991年ソ連消滅。エリツィン大統領の台頭
から、その後の大混乱の時代を経て、プー
チン氏への政権委譲へと続く90年代激
動のロシアを縦横無尽に駆け回り、
類い希な専門知識と豊富な人
脈を駆使して、膨大な情
報を日本政府にもた
らした男、それが元主任分析官、佐藤優だ。
2000年までの平和条約の締結と北方領土の
返還という外交政策の実現を目指して、ロシ
ア外交の最前線で活躍していた彼は、なぜ
「国策捜査」の対象となり、東京地検特
捜部に逮捕されされなければならなかったのか?
そもそも、検察による「国策捜査」とは何か?
さらに、鈴木宗男代議士による外務省支配の
実態とは? 小泉政権誕生の「生みの母」と
まで言われた田中眞紀子外相の実像と
は? 宗男VS.眞紀子戦争の裏側で何
が起こっていたのか──。
512日にも及んだ獄中で構想を練り、
釈放後1年以上をかけて執筆され
た、まさに入魂の告白手記。
今から思えば512日間の独房生活は、読書
と思索にとって最良の環境だった。学術
書を中心に220冊を読み、思索ノート
は62冊になった。
本書を書き進めるためにあたって私が参考に
したのは『太平記』だ。南北朝の混乱した
状況を、特定の政治的立場から人物や
出来事を評価するのではなく、事
実の細部にこだわり、描くと
いう方法に共感を覚えた。
情報専門家としての飯野氏の実力。三井
物産の飯野氏はロシア語の新聞を
徹底的に読み込んでいた。
情報専門家の間では、「秘密情報の98%は、
実は公開情報の中に埋もれている」といわ
れている。それを掴む手がかりになる
のは新聞を精読し、切り抜き、整
理することからはじまる。
情報はデータベースに入力していてもあまり
意味がなく、記憶にきちんと定着させなく
てはならない。この基本を怠っていく
ら情報を聞き込んだり、地方調査
を進めても、上滑りした情報
を得ることしかできず、実務の役に立たない。
現在は外交官や商社マンで本気で新聞を読ん
でいる人が少ない。しかし、飯野氏は新聞
の意味をよくわかっている情報マンだ。
私は飯野氏と同様の匂いを何人か
の三井物産関係者に感じた。
そして私なりに調査したところ、三井物産の
対露情報の手法は明らかに満鉄調査部の伝統
を継承している、という印象を得たのだった。
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ラスプーチンと呼ばれて』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!