日本料理界の重鎮、道場六三郎さん。
自らの体験から導き出された、
仕事の根本とは。
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道場 六三郎(銀座ろくさん亭主人)
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地元の調理師会の会長さんに頼んで
紹介状を書いてもらい、その方の
弟分が経営する東京・銀座の
「くろかべ」という日本
料理店で働くことになりました。
母親としては、周りから嫌われたり、
いじめに遭ったりすることが一番
心配だったのでしょう。
家を出る私に、「六ちゃん、人に可愛
がってもらえるようにせないかん」
と言葉を掛けてくれました。
(中略)
「親や先生のいる前では真面目にやって、
見ていないと手を抜く人がいるけど、
とにかく神仏は全部見てござる。
だから、陰日向があってはいけない。
どんな時も一所懸命やらなきゃ
いけないよ」
これらの言葉に従って、朝一番に店に
来て先輩の白衣と靴を用意しておい
たり、ボロボロになった高下駄
を修繕したり、あるいは、
親父さんから「ガス台
が汚いから綺麗に
しろ」と言われれば、
翌朝四時まで徹底的に
磨いてピカピカにしたり……。
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どうやったら親父さんや先輩が喜んで
くれるかということを常に考え、身
を粉にして仕事に打ち込みました。
そうやっていると、思いがけず先輩が
料理のレシピノートを見せてくれたり、
新しい仕事を回してくれるように
なり、どんどん料理の腕を磨
くことができたのです。
上の人から「あれをやれ、これをやれ」
と言ってもらえる存在になれば、様々
な仕事を経験でき、使われながら
にして引き上げてもらうことができる。
ゆえに、仕事をする上で最も大事なの
は「可愛がられる人間、使われやすい
人間になること」に他なりません。
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道場さんの『致知』応援メッセージ
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父の想い出の中に、いつも枕元に
修養書が有りました。
今、私の枕元には『致知』が有ります。
『致知』のおかげで安心して
日送りが出来ます。
私は店の者にも子供にも、『致知』は
「人生航路の羅針盤」、また、どこ
へ流れて居るのか不安な時の
「凧の糸」とも伝えています。
風の流れ、世の流れ、何処に流れる
のか、糸を手操れば足元に帰ります。
料理の世界も同じ事。世界で泳ぎ
基本に帰る。温故知新。
人間の常識本、それが『致知』です。
『致知』2016年7月号
連載「二十代をどう生きるか」P100
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝