平成の吉田松陰とも呼ばれたという
教育家の故・小柳陽太郎さん。
本日は九州にある寺子屋モデル社長山口秀範
さんが語る恩師・小柳さんとの軽妙な
思い出話をお届けします。
────────[今日の注目の人]───
☆ 恩師・小柳陽太郎先生の教え ☆
山口 秀範(寺子屋モデル社長)
×
占部 賢志(中村学園大学教授)
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【占部】
どういう先生に出会うかは人生において大きな
影響力を持つわけですが、やはり山口さんに
とっての理想の教師像は小柳先生
ではありませんか。
【山口】
もちろんそうです。
小柳先生と出会っていなければ、いまの人生は
なかったと思いますよ。
とは言いながら、修猷館高校時代、私は
小柳先生の授業を一度も受けた
ことはありません。
国語の先生は他にもいらして、
機会がなかったんです。
三年生で新しいクラスになると、友人
たちが口々に「小柳先生はすごい
すごい」と言う。
でも私にとっては、相変わらずお顔は
存じ上げていても話したことがない、
そんな存在でした。
一方、私はその頃、文科系に行くか
理科系に進むかで、かなり深刻に
迷っていたんですよ。
ある時、皆がそれほど讃えるのならと、
小柳先生に相談しようと思いましてね。
先生が宿直の晩、母のつくってくれた牡丹
餠を持って、夜分学校を訪ねました。
まず名前を名乗ってから、相談させて
いただきましたが、聞いておられた
先生は、おもむろに「どっちでも
いいよ」と言われたんですよ。
【占部】
どっちでもいいと(笑)。
【山口】
ええ(笑)。それが答えなのかと
ちょっと落胆しかけた時、小柳
先生はこう続けられました。
「君はどの学部を選ぶかが人生最大の岐路
で、もし間違った選択をすれば、大変な
ことになると思っているだろう。
しかし、これからの人生でどの道を
選ぶかという決断の場面は数え
切れないほどやってくる。
その度に迷うだろうが、実は
どちらの道でもいいのだ。
むしろ大事なことは、これと決めた
道を一所懸命進むことなんだ」
その時に一緒にお話しくださった
比喩も面白かったですね。
「君ね、世の中には、綺麗だな、可愛い
なと思う女の人がいっぱいいるだろう。
だから……
※小柳先生のユーモアを交えた人生訓
の続きは本誌でどうぞ!
『致知』2016年12月号
特集「人を育てる」P58
今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!