勤めている会社は大丈夫か?取引先は? 経営
分析、財務分析の本は山ほどある。ただ、
「机上の空論」で終わるものも少なくない。
「数字のウラ側を読み解く技術」を身につけ
られる本書は、それらとは一線を画す。会社
が生きるか死ぬかの修羅場で真剣勝負し、
成功を収めてきた企業再生のプロフ
ェッショナル・冨山和彦氏。
答えは、学びと実践の繰り返しのなかにある。
仮説と検証を繰り返して真実に迫る。
経済の本質のひとつは、人間心理である。
人間音痴では、正しい経営分析はできない。
簿記はすべての基本。不自然さに気づく感性
の磨き方。財務三表を頭で読んでいるうちは
ダメで、慣れてくると、全体を景色として
眺められるようになる。
この景色は何か変だなとか、この景色はいい
景色だなとか、そういう直感が働くように
なると、分析のスピードも上がる。
このあたりの話は、知識というよりも訓練で
ある。何度も何度も、もう嫌になるくらい
PL、BS、CSとにらめっこして、仮
説を立てて、検証してということを
繰り返すしか身につける方法はない。
さらに言うなら、自分の手を動かして、簿記
のレベルから財務諸表をつくる訓練を行い、
さらに、三表連動のモデルをつくると
理解が早まる。
筆者自身の経験でもあるが、昔からスタンフ
ォード大学のような一流のビジネススクール、
いや一流校だからこそ、必修で嫌というほ
ど簿記の穴埋め問題を解かされ、それが
終わると三表連動のスプレッドシート
を自分で作って電卓で計算をやらされる。
この訓練を繰り返すうちに、この数字を
いじると、こことここに影響が出るとい
う相関関係がわかるようになり、不自
然なものを見て不自然だと気づく
感性が養われる。
複式簿記をわかっていない人が多い。
基本をないがしろにしてはいけない。
そもそもPLとBSの違いが分か
っていない人が多いのが現実だ。
私たちは、小学校から複式簿記を教えるべき
だと思っている。だが現実には、複式簿記
がわからなくても司法試験は受かるし、
公務員試験も受かる。経済学者さえ、
わかっていない人がいる。
マスコミの人も、最初に簿記を叩き込めば
いいのに、そういう勉強はしない。
PL、BSをきちんと理解するためには、
ある程度、簿記の訓練をしておいたほう
がいい。筆者はビジネススクールで
仕訳をさんざんやらされた。
機械的にひたすら仕訳して、それをPL、
BSに持っていくような地味なトレーニ
ングをやらされて、当時は、大学院ま
で来てなんでこんなことをしなけれ
ばいけなんだと思ったけれども、
今振り返れば、やっておいて
よかったと心底思う。
そこまでやって初めてPLとBSの
意味が体感的にわかったからだ。
簿記は必ずやっておくべき。現場で使える
経営分析の能力は、しっかりした簿記
の土台の上に築かれる。
基礎的な訓練の後は、ひたすら
現場で経験を積む。
冨山和彦『IGPI流・経営分析の
リアルノウハウ』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!