寝たきり社長 佐藤仙務の挑戦
今回、この本を書いてくだ
さった塩田芳享さん。
気付けば、塩田さんとはかれこれ
三年ほどの付き合いになった。
親子ほど年の離れている僕らだが、
僕は塩田さんとお会いするたびに
こんなことを考えてしまう。
「年齢ってなんだろう。
障害ってなんだろう」
人は生きていく中でさま
ざまな困難にぶち当たる。
すると、多くの人はそんな時に
こういう言葉を口にするのだ。
「~だから、仕方がない」
もう年なんだから仕方がない。
女性として生まれたのだから仕方がない。
何より、障害者である僕の周りで多い
のが「障害者だから仕方がない……」
という人だ。
僕も障害者として生きてきたわけなの
で、そんな人たちの気持ちはわかる。
けれど、僕は「障害者だから仕方が
ない……」と嘆きながら、悲しみ
に暮れ、生きていきたくないのである。
僕はこの世に生を享けた。
神様は僕に対しては無愛想だし、
微笑みもしてくれなかった。
しかも、障害という過酷な
試練までも与えてきた。
だから、嫌になることはたくさんあった。
もう死にたいと思ったこともあった。
でも、塩田さんと出会い、僕は一つ
大きなことに気がついた。
それは神様が僕に与えたものは「試練」
なんかじゃなくて、本の中で塩田さん
が書いた「天命」だったのだ。
「佐藤くん、俺は君にならできる
といつも信じているから」
これまで、塩田さんに何度も
かけられた言葉だ。
この言葉を聞くたび、僕は本当に、
力強く、背中を押してもらえる。
――僕にだって、できることは
たくさんあるんだ。
そして最近、ふと思うことがある。
塩田さんは神様が僕に送り込んだ
使者なのかもしれないと。
そしてもし、この本を神様が読んだら――
ちょっとだけ微笑むかもしれないと。
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ご紹介したのは、今年5月に発売された
芳享・著)の「あとがきにかえて」に、
佐藤さんが寄せられた一文です。
筋肉がどんどん動かなくなる難病・
脊髄性筋萎縮症萎縮症を抱えなが
らも、19歳で起業した佐藤仙務さん。
ITをフル活用し、障害者雇用を推進
するなど、「寝たきり社長」として
話題を呼び、5月には『ガイアの
夜明け』(テレビ東京系)で
も、精力的な活動ぶりが
紹介されました。
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝