いつまで続く迎合・謝罪外交…外務省顧問の職を
辞してまで問いかけた日本外交の実態とは。
著者村田良平氏は、気骨ある外交官で外務事務
次官、駐米大使、駐独大使を歴任した。
外交機密費流用問題から始まった外務省のスキャン
ダルは、北朝鮮の不審船引き揚げ問題、瀋陽の
日本総領事館での亡命未遂事件。
本書では、日本大使館の情報管理のお粗末さ、
人事制度の弊害などを、実名を挙げて論証する。
果たして、落日の外務省に日はまた昇るのか。
外交とは「自国と他国との対立する利害を平和的
に調整すること、および協議によって共通の
利益の増進をはかること」。
一寸の虫にも五分の魂というが、国の威信という
のは国の大小を問わず独立国家にとって
極めて重要なことである。
国の威信を保つためには、その国は自らの国家像、
国のアイディンティティを明確に認識する
ことが大前提である。
そして理由のない恫喝や侮辱に対しては断乎反論
ないし抵抗し、少なくとも先方の圧力に屈しは
しないことが国としての威信を保つ所以である。
外交の要諦は、合意を計って利益を確保することと
ほぼ同程度に、どうしても残る不満、不和を一定の
許容限度内に収めることによって、それを紛争
の種としないための努力である。
外交官は、近代政治史、外交史、戦争史を中心とする
世界史に通暁し、国際法についての基本的な知識を
有し、国際政治、国際経済の仕組みや主要宗教
の本質について一定の知識と見解を
持たなければならない。
又、文学・音楽・絵画などで世界水準に属する文化
作品についての知識を持つことが望ましい。
国際的な儀典(プロトコール)と、これが定める
エチケットに従う行動を夫婦共に守りうる
素養を持つことが期待される。
できれば、食事およびワインに関して一定程度の
知識をもつことが望ましい。
外交官の最重要な任務の一つは情報の入手である。
この目的を含め職業の目的の達成には不断の勉強、
そのための人脈の構成、社交の努力が欠かせない。
主として公開情報を精読すること、任国の有力者や
外交国の同僚の意見を聴取することであるが、機密
文書の入手や情報提供者との接触なども入る。
情勢判断の基礎として、外交官は入手した公開
及び機密情報を分析し、評価する能力を
備えなければならない。
このためには原則として一定の訓練を受ける
ことが望ましく、少なくとも一定年数は優れ
た上司の下で経験を積まなければならない。
優れた経験豊かな職業外交官は、中長期の予測
も正しく行いうるし、また国際的な事件が発生
した際、その出来事の意味合いや自国の利害
に及ぼすべき影響はほぼ即時に分析し
判断することが可能となる。
総理大臣は国家のあり方につき哲学と長期
ビジョンを持ち、日本の国際分野での国益
についての明確な認識と国際情勢の基礎
に関する一定の知識を持つこと。
外交官の任務は多岐にわたるが、交渉力と
情勢判断力の2つが外交官、とくに大使
にとってもっとも重要な能力である。
若い時から大交渉の末席に坐れる若い
事務官は幸福である。
先輩の交渉ぶりから多くを学べるからだ。
尚、多数国間交渉には2国間交渉とはまた
異なった特殊なテクニックや多数派工作
のための独特の能力が求められる。
要は経験を積むことである。
情勢判断は外交官の生命である。
その前提には情報収集能力と分析能力がある。
情報収集については、大使その他の公館長は
本省職員や当該国駐在の特派員及び企業
代表よりはるかに優位にある。
優れた人柄をもち人脈作りに長けている大使
は、任国の最高権力者をはじめとして、有力
閣僚、外務省高官、財界首脳やオピニオン
リーダーなどと友人になれる。
又、機密費を使って情報提供者から
貴重な情報を入手しうる。
情報分析については通常一定の
訓練と努力が必要である。
人間性一般、たとえば権力闘争とはいかなる
ものかについての知識から始まって、当該
地域の特性も研究しなければならない。
もっとも重要なのは国際政治史及び
当該地域の歴史を学ぶこと。
日本が中国から学ぶべきことは、
トップの外遊について。
中国の首脳は、計画的にかつ精力的
に外遊している。
外交官は、その国の顔であり、モデルである。
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!