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1 世界が認めた古典文学『源氏物語』
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境野 勝悟(東洋思想家)
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平安時代中期に紫式部が著した『源氏
物語』。世界的にも高い評価を受け
ている古典文学の最高峰の作品
の魅力を、境野さんが紐解きました。
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『源氏物語』の何が素晴らしいかといえ
ば、まず一つには日本語の音の並び、
文章のリズムが非常にいい。
『徒然草』『方丈記』の文章も素晴らし
いですが、『源氏物語』は断トツで
しょう。小説家の三島由紀夫は、
「『源氏物語』以上の文学
は書けない」と言ったそう
ですが、その気持ちも分かります。
もう一つの魅力は、時代を超越した
真実の愛を描いていることです。
『源氏物語』を読むと、人間の情、男女
の愛というのはここまで尊いものかと
教えられます。ただ、物語に出て
くる女性の和歌や言葉の真意
が、男性の私には十分理解
できないことがよくありました。
そういう時には、「こう思いますがど
うですか?」と奥様方に聞くのです
が、ほとんど「それは違うわ」と
いう返事が返ってくるのです。
それで私は、物事の感じ方や愛のあり方
は、男女でこんなにも違うのかと驚き
ました。「男女平等」を教えられ
てきた現代人は、ともすれば、
男女は何もかも一緒だと考
えてしまいがちですが、
やはり、法的に同権
ではあっても、同質ではないのです。
ここが理解できないと、よりよい
人間関係、人生もつくれません。
そして『源氏物語』の登場人物たちは、
その男女の違いを知り尽くした上で、
理解し合い、お互いの愛の生活、
あるいは人生を充実させていく。
主人公の光源氏も、付き合った女性たち
の心を深く理解し、皆を幸せにしてい
ます。ちなみに、源氏が若い頃に
付き合った女性は、ほとんど
全員年上です。男女関係
が大らかだった時代
には、男は年上
の女性とたくさん付き合う
ことで、恋愛のみならず、人情の
機微や人生を教えてもらったのです。
それは女性も同じことでした。とにかく、
多様な人との心通った交流の中で自分
の人格や教養を完成させていった。
本欄では、原文にも触れながら、不朽の
古典『源氏物語』からいまを生きる
私たちが学ぶべきことを考え
てみたいと思います。
『致知』2018年12月号
特集「古典力入門」P38
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!